謎多き民族、シュメール人。
シュメールは、最古の都市文明であり、初期のメソポタミア文明とされています。
豊かな土地を築きやすい運河の近く、チグリス川とユーフラテス川の間に栄えた都市。
シュメール文明を築いてからペルシア帝国に併合されてシュメール人が姿を消すまで、シュメールの歴史は続きました。
その歴史は軽く2000年以上を超えるので、その中で王朝が誕生しては没落して行ったのです。
そんなシュメール人については、多くの謎があります。
果たして、その謎とはどういったものなのでしょうか?
シュメール人の起源
シュメール人たちは、自らを
黒頭の民
と呼んで、その土地を
君主たちの地
と呼んでいたようです。
そんなシュメール人たちは、一体どこからやって来たのでしょうか?
シュメール人はどこから来た?
シュメール人の外見は、他の民族たちとは異なっている者も多くいたようです。
旧約聖書の『創世記』に記されている大洪水の後、シュメール地方に住み着いたのは
東からやってきた人々
とされています。
なので、シュメール人はモンゴロイド系なのかもしれません。
また、シュメール人は一体どこから来たのかも未だに謎のままです。
自然と成り立った民族ではなく、東から突然現れた民族と言う方がしっくり来るかもしれませんね。
唯一無二の「シュメール語」
シュメール語の特徴としては、この時代にあった様々な言語とは異なったことです。
つまり、シュメール語は孤立した言語であり、他の言語と何ら共通性が無かったというのです。
実は「シュメール」という言葉は、シュメール人自らが使っていたものではなく、別の民族であるアッカド人によって呼ばれていた呼び名です。
シュメール人の宗教
シュメール人はさまざまな都市国家に住み、それぞれ「ジッグラト」と呼ばれる神殿の周囲に集まって住んでいました。
また、シュメールの宗教は多神教だったため、
それぞれの神が各都市を所有している
と信じていました。
シュメールの宗教や神話についてさらに詳しく書いている記事もあるので、
シュメール神話とは?最高神のあらすじや洪水の内容を解説!
最古のメソポタミア文明に存在したシュメール神話。 その中で登場するアヌンナキは宇宙人だったのか? 旧約聖書の洪水話「ノアの方舟」との関連性は? そういった都市伝説系の質問や疑問にもお答えしてる記事です!
詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみて下さい。
言い伝えによれば、シュメール人が信仰するディンギル(神)たちは、彼らに従ってくれる者を欲しました。
そして、粘土から人間を創り出したのです。
ディンギルたちによる怒りや欲求不満は、しばしば「地震」によって表現されました。
つまり、神は人間たちの為にあるのではなく、人間は神々のなすがままにあるということです。
神って人間を救済するイメージがありますが、シュメールにおける神は独裁者に近いですよね。
シュメール人たちの証言
こういった思想からか、シュメール人たちの人生における展望は絶望的なものが目立ちます。
ある人は、
私は憂鬱の中にある。苦痛が私を支配する。あぁ、私の人生は終わりだ…。悪い病気で私は…。
また、別のシュメール人は、
なぜ私は無礼者なのでしょうか?食べ物は全てあるのに、私のは飢餓です。分け前の損失があったのかしら…。
こういった、シュメール人の人生での悲観的な内容のものが数多く残されていたのです。
これらを残したシュメール人たちも、まさかこんな時代に自分たちの書いた内容が読まれるなんて思ってもみなかったでしょうね。
シュメール人の宇宙観
さらに衝撃的なシュメール人の思想があります。
それは、彼らの宇宙観です。
彼らの考える宇宙とは、スズ製のドームに囲まれた平らな円盤から構成されると信じていました。
え?ちょっと待って。これって、まさかUFOじゃ・・・?
と思っても仕方ないと思います。
宇宙(UFO)から神々(宇宙人)が来て、人間(シュメール人)を創り出して・・・。
と考えるのも不思議じゃありません。
また、シュメール人の「来世」は、悲惨な生活を永遠に過ごすためのひどい地獄への入り口でした。
つまり、人間は神たちにとっての永遠に続くシンプルな奴隷だったのです。
シュメール人の病気
そんなシュメール人の病気に対する考え方はかなり古典的です。
病気=魔物の征服
として、
魔物が体内に罠を仕掛けている
と説明したのです。
薬によって、魔物が体内にいる事を不快に思わせ、
子羊や彫像に入り込んでもらおう
としていたんです。
日本人シュメール起源説
1916年(大正5年)にバビロン学会を起こした原田さんという方が、
バビロニア民族の一部が日本に移住してきたのでは?
という仮説を主張しました。
この時は、日本人バビロニア起源説だったんです。
それが、さらに発展しました。
シュメール人はかつてペルシア帝国に併合される前に、都市であるアッカドやバビロニアの支配を受けていました。
そのバビロニア民族の一部にシュメール人が混ざっていたので、日本人シュメール起源説にまで発展したのです。
日本人の祖先については他にも様々な説があります。
有名なものに「日ユ同祖論」という日本人とユダヤ人が同じ先祖というものもあります。
興味のある方はこちらもご覧ください。
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関東大震災の後、1927年(昭和2年)に大山祇神社の三島さんが、原田さんの論を継承しました。
つまり、この説は学会から神社の長に継承されたのです。
日本語シュメールの起源
この説はさらに第二次世界大戦にまで発展します。
天皇の古い呼び名「すめらみこと」は
「シュメルのみこと」である
といった噂が広がりました。
これを京都大学の中原さんが
シュメール
と改めて、この噂を回避させたのです。
さらに、1940年には「スメラ学塾」の開講や「スメラクラブ」といった文化サロンの結成もありました。
しかし、こういった動きに
一種の誇大妄想狂
という意見があったのも事実です。
この時代、
なんとか天皇を神格化させたい!
という動きもあったはずなので、日本人シュメール起源説は誇張された感じはあったかもしれないです。
しかし、実際にシュメール人の起源は未だに不明なので、日本人であるという可能性も0ではないのではないでしょうか?
信じるか信じないかは、あなた次第です。
メソポタミア文明には、他にもまだまだ数多くの歴史があります。
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参考:『シュメール』