クリスマスと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
家族でクリスマスを過ごす人もいれば、恋人と2きりで甘い夜を過ごす人もいるでしょう。
あるいは、クリスマス関係なく働いてる人もいるでしょう。
どんな人であれ、クリスマスと聞くと何か特別な日だというイメージは持ち合わせているはず。
そんなクリスマスを何気なく祝っている時にふと
そもそもクリスマスは何を祝ってるの?
と思った事はないですか?
この記事では、そんなクリスマスについてさらに深く考えてもらう為に書きました!
クリスマスの名前の由来とは?
クリスマスとは、「キリストのミサ」という意味です。
キリストの誕生を祝う祭りではあるのですが、
イエス・キリストの誕生日ではない
という事が重要なポイントなのです。
ちなみに、キリスト教で最も大切なお祭りはクリスマスではなく復活祭です。
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正教会の中でもユリウス暦を使用するところがあり、その場合ほとんどの国が使用しているグレゴリオ暦の1月7日にクリスマスを祝います。
また、キリスト教以前からある以下の教会に関しては、
- ユダヤ教暦
- ローマ暦
- 教会暦
現代と違って日没を1日の境とするので、12月24日のクリスマス・イヴの日没からクリスマスとなります。
終わりは、12月25日の朝あるいは日没までと暦によって違います。
イエス・キリストはいつ産まれた?
新約聖書には、イエス・キリストの誕生日について特に何も書かれていません。
イエスがヘロデ王の代に、ユダヤのベツレヘムでお生れになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った、「ユダヤ人の王としてお生れになったかたは、どこにおられますか。わたしたちは東の方でその星を見たので、そのかたを拝みにきました」。
マタイによる福音書第2章第1・2節(口語訳聖書)
恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。きょうダビデの町に、あなたがたのために救世主がお生まれになった。このかたこそ、主なるイエス・キリストである。
ルカによる福音書第2章第10・11節(口語訳聖書)
イエスがいつ産まれたのか?
その疑問は、古代からキリスト教の中でずっとありました。
しかし、彼の誕生日は未だ謎に包まれています。
クリスマスはいつ生まれた?
古代ローマの宗教の一つであったミトラ教で
不滅の太陽が生まれる日
と12月25日はされていました。
そして、その太陽神ミトラを祝う冬の祭りがあり、
それがクリスマスの起源になったのではないか?
と言われています。
そんなキリストの生誕祭も、遅くとも西暦354年には始まっていました。
これとは別に、西方教会では1月6日にキリストの誕生を祝う公現祭が行われました。
ちなみに、サンタクロースはキリスト教の聖人である聖人ニコライ(ニコラウス)の伝説が起源とされています。
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クリスマスツリーの習慣は中世ドイツの宗教劇であった神秘劇で、アダムとイヴの物語を演じた時に使用された樹木に由来している言われています。
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そのクリスマスツリーに飾りやイルミネーションを施したのが19世紀以降のアメリカが始まりです。
日本型クリスマスはいつ始まった?
日本の初めてのクリスマスは戦国時代でした。
1552年(天文21年)にカトリック教会の宣教師らが、日本人信徒を招いて降誕祭のミサを行ったのです。
しかし、その後江戸幕府の禁教令によってキリスト教は禁止されます。
これにより、明治が訪れるまでの200年以上もの間、隠れキリシタン以外のキリスト教は受け入れられることがありませんでした。
江戸時代のクリスマス
しかし、一部例外がありました。
長崎出島のオランダ商館のオランダ人達は、密かにクリスマスをお祝いしていました。
江戸幕府様が、キリスト教を好いていないのは十分承知シテマス。ですが、我々にはオランダの冬祭りというものがアリマース。それは祝いたいデスネ!
とクリスマスを祝うために、「オランダ正月」を開催していました。
この祭りには、何人かのオランダ人と付き合いのある日本人も招待されていたようです。
また、長崎に住むオランダ好きの日本人の間でも、この祭りを真似て祝っていました。
そして、オランダ商館の人達が江戸に行く事もあり、その時に江戸幕府の役人たちはオランダ正月を基にオランダ料理などを用意したそうです。
日本大衆向けクリスマス
明治時代になると、ようやく日本でもクリスマスが受け入れられるようになりました。
主に食料品を販売している明治屋が銀座に進出した1900年頃から、クリスマス商戦が始まりました。
大正時代になると、12月号の雑誌の表紙をはじめとしてクリスマス関連の話や挿絵がたくさん載せられました。
1925年には、結核撲滅の寄付切手である「クリスマスシール」が日本で初めて発行されます。
昭和(戦前)のクリスマス
1926年(大正15年)12月25日。
この日、大正天皇が崩御されました。
日本では、天皇の誕生日と崩御日は休日となります。
つまり、大正天皇の崩御日である12月25日が休日となります。
皮肉なことに、この時代から日本ではクリスマスの習慣が広がるのです。
昭和の初期には、
クリスマスは今や日本の年中行事となり、サンタクロースも立派に日本の子供のものに!
と朝日新聞に書かれました。
東京では多くのカフェや喫茶店でクリスマス料理のメニューを用意し、店員は仮装してお客さんを迎えました。
なんと第二次世界大戦の真っ只中でも、前線部隊の食堂でクリスマスツリーが飾られていたようです。
戦後から現代のクリスマス
戦後には国民の祝日に関しての法律により、12月25日の大正天皇祭は休日から外されました。
それでも、クリスマスは日本の年中行事として祝われ続けます。
また、12月23日生まれの明仁親王(あきひとしんのう)が天皇であった平成の時代には、クリスマス・イヴが天皇誕生日の振替休日となる年もありました。
早くて11月上旬からクリスマスの準備をする店もあり、12月24日のクリスマス・イヴにイベントなどを開くこともあります。
そんなクリスマスも、12月26日以降になると正月飾りに早変わり!
このような日本のクリスマスに関して、
キリスト教圏の本場のクリスマスと比べたら規模が小さくない?
という指摘もあります。
事実、2014年に旅行サイトであるスカイスキャナーが発表したクリスマスの大騒ぎを避けるために行く国トップ10で、中東や仏教国、社会主義国家などを押さえ日本は堂々の1位です。
なぜなら、日本のクリスマスは祝日ではなく、12月25日も日本人はいつも通り仕事をするからだそうです。
教会では、キリスト教徒関係なくミサに出席し参加する事が出来ます。
一方、家庭では家族とのんびりと過ごす日本人が多いのですが、
本当は、クリスマスに恋人と過ごしたいなぁ…
という人達も多いのだとか。
日本のクリスマスを祝日化?
クリスマスは多くの国で祝日となっているので、
日本でも祝日にしちゃおうよ!
という話があります。
なぜなら、クリスマスの後すぐに年末年始休暇となるので、有給休暇を使えば
長期休暇を取れるかも…!!
というメリットがあるからです。
しかし、この案を実現するには多くの困難があります。
例えば、多くの企業にとってこの時期は特に忙しいです。
さらに、日本国憲法が定める政教分離の原則から、
特定の宗教記念日を祝日とするのが難しい
というのもあります。
大正天皇祭のように休日とクリスマスが偶然一致する事があれば良いのですが、その可能性も限りなく低いのが現状です。
さて、そんな日本とは違って、世界ではどのようなクリスマスの過ごし方をしているのでしょうか?
世界のクリスマスの祝い方
クリスマスはキリスト教だけでなく、多くの人の年中行事として楽しまれています。
カトリックの影響の強い国では、
- クリスマス:12月25日
- 公現祭:1月6日
といった始まりから終わりとなります。
- 23日頃:クリスマスの飾り付け
- 24日:クリスマス・イヴの夜を祝う
- 1月6日過ぎ:飾り付けが取り払われる
こういった流れで全て終了します。
このようなクリスマスは主に
- イタリア
- ポーランド
- フランス
- スペイン
などで行われます。
それでは、代表的な国々のクリスマスの祝い方をここからはご紹介して行きます!
フランスのクリスマス
フランスの多くの教会堂で、キリストが誕生した時の様子を表した「降誕場面」の模型が飾られます。
フランスの大人たちは12月初旬からクリスマスにかけて、愛情いっぱいのクリスマスカードを送り合います。
一方、子供たちは1月6日に少し遅めのプレゼントを貰います。
イタリアのクリスマス
イタリアのほとんどの地域では、プレゼントを持って来るのはサンタクロースではなく、魔女のベファーナとされています。
ドイツのクリスマス
オランダやドイツの一部地域などでは、12月6日をサンタクロースの起源である「ニコラウスの日」としています。
そして、子供たちはその日にプレゼントを貰うのです。
ドイツでプレゼントを持って来るのは、
- 北部:サンタクロース
- 南部:クリスマスの天使クリストキント
となっています。
1年間良い子にしていたら、その子供はプレゼントを貰えます。
逆に悪い子であれば、石炭を与えられたり、木の枝で叩かれる地域もあるそうです。
北欧のクリスマス
北欧のクリスマスは独特です。
冬祭りがキリスト教と合わさって、クリスマスのことを「ユール」と呼ぶようになりました。
そして、北欧のクリスマスは聖ルチア祭から始まっています。
また、古代ゲルマンの冬まつりの影響が未だ強く、
- ワラで作ったヤギを飾る
- 妖精がプレゼントを持って来てくれる
などの独自の習慣が見られます。
イギリスのクリスマス
アメリカでもそうなのですが、イギリスではクリスマスの日は基本的に家族と過ごす事になっています。
クリスマスよりずいぶん前から色々とその日のために準備をします。
飾り付けなどの準備を家族とやる事で、
今年も、家族と一緒に過ごせて良かったなぁ…
と思えるのです。
クリスマスの当日は家庭料理が一般的で、外出するのはクリスマスミサに参加するために教会に行くぐらいです。
イギリスでは、12月25日にサンタクロースがプレゼントを持って来ます。
クリスマスの日には、台所周辺にヤドリギが飾られます。
そして、そのヤドリギの下に偶然にも女性が立った場合、その女性にキスしても良いとする習慣が19世紀を中心にありました。
アメリカのクリスマス
アメリカや日本はイギリス流のクリスマスを受け継いでいます。
アメリカではクリスマス前日に挨拶にと絵はがきやカードを送ったり、プレゼントを家族全員で交換し合う習慣があります。
1990年代から、宗教的中立の観点によりクリスマスを祝わない人に「メリー・クリスマス」の代わりに「ハッピー・ホリデーズ」の挨拶を使う場合があります。
1990年代後半から、政教分離の原則のもとで公共の場所に飾られたクリスマスツリーを「ホリデーツリー」と言い換えることもありました。
しかし、これに関しては一部のキリスト教徒たちが批判しています。
また、1960年代からアフリカ系アメリカ人の間で、クリスマスの翌日にアフリカ民族の伝統を祝う「クワンザー」という行事を、家庭で祝うことが多くなって来ています。
ロシアのクリスマス
正教会圏内のロシアでは、
- クリスマス:冬祭り
- サンタクロース:マロース爺さん(ジェド・マロース)
と呼ばれています。
マロース爺さんは、雪娘のスネグーラチカを連れているとされています。
ロシア正教会やセルビア正教会などのクリスマスは1月7日です。
この日がユリウス暦では12月25日となるのです。
宗教弾圧が行われていたソビエト連邦では、表向きにクリスマスが祝われる事はありませんでした。
ソ連が崩壊した後、旧ソ連諸国でようやくクリスマスが大々的に祝われるようになったのです。
そもそもクリスマスはキリスト教を起源にしているので、かなり宗教色の強いイベントです。
ローマ教皇はそのクリスマスに対して、
昨今の消費社会の中で、クリスマスは汚れてしまった。キリストが生まれた貧しい馬小屋を今の私たちが見た時、一体そこから何を学べるのだろうか…
と今の商業化してしまったクリスマスを嘆き哀しんでいるのです。
旧約・新約聖書のあらすじから、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教までを1冊の本でまとめたものがあります。
聖書の基本から発展編まで、さらに深く知りたい方には持って来いの本なので、
気になる方は、こちらの本もぜひ読んでみて下さい。
参考:『クリスマス』