節分と言えば、鬼の仮面を被った人に豆をぶちまける行事ですよね。
そんな節分について、
そもそも何でこんな行事があるの?
と思った事はないでしょうか?
なぜ節分の日に、鬼に対して豆まきをするのでしょうか?
「節分」とは?
節分は雑節の一つです。
各季節の始まりを、
- 立春
- 立夏
- 立秋
- 立冬
と呼びます。
これらの季節の始まりの前日を節分と呼ぶので、季節を分けることも意味しています。
江戸時代以降は、特に2月4日頃の立春の前日を指す場合が多くなります。
太陰太陽暦では、元日(旧正月)と立春は共に新年と捉えられていました。
太陰太陽暦って何?
と思った方は、ぜひこちらの記事を参考にして下さい。
太陰太陽暦とは?どういうものか特徴を簡単に解説してみた!
「太陰太陽暦」ってよく歴史の教科書で見かけるけど、この意味はよく分かってないんだよねぇ、と思ったことありませんか?暦(こよみ)の意味や歴史について、ホントよく分からない!という方には必見の記事ですよ。
したがって、旧暦である
- 12月末日(大晦日)
- 立春前日の節分
は共に年越しの日とされています。
そして、今でも節分を「年越し」や「年取り」と呼ぶ地域があります。
また、節分の日付は明確には決まっておりません。
それでは、なぜ日付が決まっていないのでしょうか?
現在は毎年2月3日ですが、これは1985年から2020年までで常にそうではありませんでした。
2021年は2月2日になります。
節分の元である立春は、天体の運行に基づいているため日付は年によって違います。
また、未来の日付もこの運行予測による予測しか出来ません。
そんな節分の日付は、何十年という単位でだんだんと前倒しになって行きます。
ですが、4で割り切れても閏年とならない1900年、2100年、2200年などの翌年に1日遅れて帳消しとなります。
「豆まき」とは?
豆まきは邪気を追い払うための行事で、
鬼は外、福は内
と声を出しながら福豆(煎り大豆)をまき散らし、年齢の数あるいはその数より1つ多く豆を食べ厄除けを行います。
厄除けと言えば他にも、
- 柊(ひいらぎ)の小枝
- 焼いた鰯(いわし)の頭である柊鰯
などは魔除けとして使われます。
柊の葉の棘(とげ)が
痛っ!!
と鬼の目を刺すので、家の出入り口から鬼が入れません。
また、塩鰯を焼く臭さと煙で
臭いし前見ないぜ、くそっ…!!
と鬼が近寄らないと言われています。
豆まきの鬼の意味
節分では鬼をどうしてそこまで気にするのか?
それには、こんな理由がありました。
昔の人々には、
季節の変わり目には、邪気(鬼)が出るんだよ…
といった考え方がありました。
そして、それを追い払うために悪霊払いの行事が行われました。
また、節分は宮中の年中行事でした。
平安時代には、色を付けた土で作成した牛と子供の人形を平安京の宮城である大内裏(だいだいり)の各門に飾っていました。
各門によって、それぞれの色が違ったようです。
冬から2月4日の節分の日まで、その人形は飾られていました。
このような人形を飾る風習は、平安時代頃から行われている「追儺(ついな)」から生まれました。
追儺は元々、中国から伝わって来た行事でした。
それが日本にも定着して行き、現在の節分の形となったのです。
706年にこの追儺が始まり、だんだんと炒った豆で鬼を追い払う行事へとなって行きました。
このような宮中の年中行事が庶民にも広がった頃から、夕暮れに柊鰯(ひいらぎいわし)を戸口に立てておいたり、寺社で豆まきをしたりするようになりました。
豆まきはいつから始まった?
最も古い豆まきの記録は、室町時代に残されていました。
都の公家や武家では、豆まきが習わしとなっていたそうです。
さらに、室町時代の書物に平安時代の豆まきのお話についても触れられています。
宇多天皇の時代に、ある鬼が石穴から出て来て
おりゃぁぁぁぁぁ!!
と都を荒らしました。
そして、最も位の高い僧が
静まれ鬼よ、えい!
と祈祷し鬼の穴を封じて、炒り豆(大豆)で鬼の目を打ちつぶすという伝説が書かれていたのです。
豆まきをする理由って?
豆をまき散らす理由には、
豆という穀物には、生命力と魔除けの呪力が備わっている
といった信仰があるからです。
また、語呂合わせで
「魔目(豆・まめ)」を鬼の目に投げつけて鬼を滅ぼす「魔滅」に繋がる
とも思われています。
鬼に豆をぶつけることにより、邪気を追い払い1年間病気をせず、元気で健康であることを願う意味合いも込められています。
そして、まかれた豆を自分の年齢(数え年)の数だけ食べます。
そんな数え年についてさらに詳しく知りたい方は、
数え年とは?数え年の計算方法や数え方を分かりやすく解説!
こちらの記事も併せてお読み下さいませ。
また、自分の年の数の1つ多く豆を食べると、
体が丈夫になり、風邪をひかない
という習わしがある地域もあります。
豆まきのやり方やルール
スーパーなどで炒った豆をパックにした「福豆(ふくまめ)」が節分の時期に販売されます。
そして、父親などがそのお面を被って鬼の役を演じます。
がおぉぉぉぉ!!鬼がやって来たぞぉぉぉ!!!!
と言うようにその場を盛り上げるのです。
しかし、本来は家の長である父親が豆をまき鬼を追い払うものでした。
ちなみに、鬼がやって来た時の掛け声は、
鬼は外、福は内
と言って鬼を追い出します。
すでに室町時代の頃から、豆をまく時の掛け声はこれだったようですよ。
豆まきの違うやり方
地域や神社によっては違う場合があります。
鬼を神として崇めている神社などでは、
鬼も内(鬼は内)
と言います。
奈良県の金峯山寺(きんぷせんじ)で行われる節分では、役 小角(えん の おづぬ)が鬼を改心させて、
弟子になります!
と鬼が言ったそうな。
そんな言い伝えから、
福は内、鬼も内
としているのです。
また、新しめの宗教である大本(おおもと)は、鬼の神を「国之常立神(くにのとこたちのかみ)」としています。
国之常立神は『日本書紀』で初めての神として重要視されています。
この大本も同じように、
鬼は内
としています。
他にも、鬼の付く姓の家庭や地名の地域では、
鬼は内
の掛け声が多いようです。
大名の名前にも、気を遣った掛け声がありました。
姓に鬼が入っている九鬼氏(くきし)に対して、
鬼は内
としたり、丹羽氏(にわし)には
鬼は外→おにわそと→お丹羽、外
となってしまうので、
鬼、外
と言ったりしました。
主人に対してのささやかな配慮ですね。
なぜ大豆と落花生?
使う豆はお祓いを行い火であぶった大豆(炒り豆)です。
豆を神棚に供えてから撒く地方もあります。
炒り豆を使う理由は、去年に背負った厄災を払い捨てられるものであるから。
豆から芽が出たら、払い捨てる意味合いは感じませんもんね。
また、一部の家庭では落花生をまくところもあり、
落花生は大豆より拾い易いし、地面に落ちても実が汚れないからだよ
という合理的な理由からだそうです。
昔は豆の他に色々と使われていたそうですが、豆となったのは収穫量も多く、
鬼を追い払う時にぶつかる音や粒の大きさが適当だったから
とする説もあります。
ごもっとも、ごもっとも
豆をまく後ろで、
- すり鉢
- すり鉢用のすりこ木
- しゃもじ
などを持って、
鬼は外、福は内
の掛け声に合わせて
ごもっとも、ごもっとも
などと相づちを打つ風習も存在します。
あまり知られてはいませんが、家庭によって受け継がれているところもあるそうですよ。
参考:『節分』