パルテノン神殿とは、ポリス(都市国家)の一つであったアテナイの守護神であるギリシャ神話の女神アテーナーを祀る神殿です。
アテーナーってどんな女神なの?
と思った方はこちらの記事を参考にしてみて下さい。
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古代ギリシア時代に今では世界遺産として有名なアテナイのアクロポリス(小高い丘)の上に建設されました。
昔のパルテノン神殿(古パルテノン)についての歴史や作られた理由について詳しく知りたい方は、
パルテノン神殿はなぜ作られた?歴史的背景を分かり易く解説
パルテノン神殿とは、アテナイの守護女神アテーナーを祀る神殿で、アクロポリスの上に建設されました。今では世界遺産としても有名です!この記事では、昔のパルテノン神殿(古パルテノン)についての歴史や作られた理由について解説!
まずはこちらの記事を先にお読み下さい。
この記事では、昔の古パルテノンが建てられるまでの歴史やギリシャ神話と関係の深い建築様式についてまとめてみました。
これを読めばパルテノン神殿について深く知ることが出来るはず!
神殿はいつ建てられてた?
最初のパルテノン神殿である「古パルテノン」に、
アテーナー・パルテノス(処女のアテーナー)を祀った神殿を建てよう!
となったのはマラトンの戦いが終わった直後でした。
ん、マラトンの戦いって何?
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こうして、アクロポリスの丘の南側に強固な石灰岩が敷き並べられ、古風な神殿の建設が始まりました。
しかし、この古パルテノンはアケメネス朝ペルシアが、
へへ、破壊し尽くしてやるぜ!
とアテナイの都市を攻め込んできた時もまだ建設途中でした。
パルテノン神殿の建設期間
デロス同盟が成立した時には、当時のアテナイは文化の中心でした。
デロス同盟って何?
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デロス同盟とペロポネソス同盟の違いを分かりやすく解説!
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この時、政権を掌握していた政治家ペリクレスはパルテノン神殿の建設をさらに推し進めました。
そして、紀元前447年に工事を開始し、紀元前432年にほぼ工事は完了したのです。
装飾の製作は少なくとも紀元前431年まで継続されていました。
パルテノン神殿の支出明細によると、大理石が使われ運送費も膨大な費用が掛かりました。
この資金の一部はデロス同盟の宝物が使われました。
また、パルテノン神殿などの建造物には、
黄金比を使って建設されたものが複数存在する
という研究報告がありますが、
黄金比は後付けの都市伝説で、実際には正確な比率になっていない
と近年の研究では言われています。
パルテノン神殿の建築様式
パルテノン神殿の当初は、装飾の石の彫刻に色が付けてありました。
古代ギリシア建築における建築様式の一つであるドーリア式の彫刻装飾はパルテノン神殿を豪華に飾りました。
そんな装飾された神殿内の奥にある部屋には、デロス同盟でお互いに出し合った宝物が納められました。
ここからは、パルテノン神殿の建築様式の特徴について紹介していきます!
メトープ
パルテノン神殿には72枚の高浮かし彫りメトープ(長方型の彫刻小壁)があります。
東側のメトープはギリシャ神話のオリンポスの神々が巨人と戦ったギガントマキアを主題としています。
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同じように、西端のメトープはアテナイ人とアマゾーンの戦いを扱っています。
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南側はラピテース族がテーセウスの助けを受けて半人半獣のケンタウロスと繰り広げた戦いがモチーフとなっています。
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神殿に残されたメトープは北側のものを除きどれも酷く痛んでしまっています。
なので、外されたものはアクロポリス博物館や大英博物館、ルーヴル美術館に保管されています。
フリーズ
パルテノン神殿が持つ最も特徴的な装飾は寝室の外壁を取り囲むイオニア式のフリーズ(浅い浮かし彫り)です。
フリーズの主題には諸説あるようです。
古代ギリシアのアテナイで行われていた最大の祭典「パンアテナイア祭」の様式化された姿を写したのでは?
とある説ではこう言われています。
この祭りは毎年開かれ、女神アテーナーへ生贄と新調されたペプロス(古代ギリシアの女性が着用していた丈の長い衣服)の献上が行われました。
フリーズの主題にはギリシャ神話が基礎にあって、人間パンドラがアテーナーへ捧げられる言い伝えを描いたのでは?
といった解釈も最近ではあるようです。
パンドラとは、あの有名な「パンドラの箱」の女性のことを指します。
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このパンドラという人間を神への生贄とする描写は、
他国からアテナイを守るために、都市を守護するアテーナーへの求めがあった
と考えられています。
ペディメント
ペディメント(屋根の三角形の部分)の制作は紀元前438年から紀元前432年まで行われました。
むき出しの肌、または薄いキトン(古代ギリシアの男女が用いた衣服)を通して、はっきりとした体格を感じ取らせます。
また、脈々と表現された筋肉によって、活力ある肉体の自然な動きを表現しています。
東ペディメントには、女神アテーナーがゼウスの頭部から誕生した物語を描いています。
う、頭が痛過ぎる…、なんじゃこれは…!!
というゼウスの頭痛からこの物語は始まりました。
この頭痛を和らげるために、
私の頭をハンマーで叩いてくれ
と火と鍛冶の神ヘーパイストスに命じました。
すると、ゼウスの頭が裂け、中から鎧兜(よろいかぶと)を身に付けた女神アテーナーが飛び出したのです。
東ペディメントではこの情景を描いています。
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西ペディメントでは、オリーブの枝を持ったアテーナーと三叉の槍を持ったポセイドーンが、都市の守護者としての立場を争った姿が描かれています。
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参考:『パルテノン神殿』