ラマダーン月の断食はイスラムの六信五行の内の一つです。
つまり、イスラムで最も重要な5つの義務の一つなのです。
青年以上のムスリム(イスラム教徒のことを言う)の男女は、ラマダーン月の1ヶ月間は日の出から日没まで毎日断食しなければいけません。
そして、日没から日の出(夕方から翌未明)までの間に、一日分の食事を摂ります。
ラマダーン月の断食についての基本知識を詳しく知りたい方は、
「ラマダン」とは何か?断食を行う理由を分かりやすく解説!
イスラム教では、青年以上の男女は1ヶ月間は毎日(日の出から日没まで)断食をしなければいけません。この記事では、イスラム教徒(ムスリム)がラマダーン月に行う断食についての基本的な知識を分かり易くまとめてみました!
まずはこちらの記事を先に読みましょう。
断食なんて、よくするな…。
と思われる方も多いでしょう。
この記事では、
ラマダーン月の断食の期間がどうやって始まり終わるのか?
について詳しくまとめてみました!
イスラム教徒になったばかりの人や、イスラム教徒でない一般の方でも理解してもらえるように分かり易く書いています。
ラマダーンの時期や期間
ヒジュラ暦は、月の運行に基づいた純粋な太陰暦です。
閏(うるう)月による補正を行わないため、太陽暦で毎年11日ほど早まり、およそ33年で季節が一周します。
ん、太陰暦や太陽暦って何?
と思った方は、
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太陰暦であるヒジュラ暦を基準にする事で、ラマダーン月は春夏秋冬全ての季節を経験する事が出来ます。
これは世界中どの地域に住んでいるムスリム(イスラム教徒)でも、公平に全ての季節で断食しなければなりません。
ラマダーンの開始と終了
ラマダーン月の始まりと終わりは、長老らによる新月の観測によって行われます。
雲などで新月が確認できなかった場合は1日ずれます。
新月は、肉眼で観察して決定されます。
夏に白夜(太陽が沈んでも暗くならない現象)になる北極圏や南極圏では、近隣国の日の出・日没時間に合わせるなどの調整も行われます。
ラマダーンの始まり方
イスラームの暦は月を基準にしているので、一日は日没から始まります。
ムスリム(イスラム教徒)の多い地域では、シャアバーン月(イスラーム暦8月)29日の日没後に子供も老人も、
むむむむ…
と建物の屋上や山の上に登って一心に目をこらして新月を見つけようとします。
もしそれでイスラーム暦8月の最終日である29日に新月を見つければ、ラマダーン月(イスラーム暦9月)が始まります。
その夜からタラウィーフと呼ばれるサラート(礼拝)が行われ、翌朝から断食が行われるのです。
断食期間中の礼拝方法、禁止事項や断食を破っても良い例外などがあります。
それらについてさらに詳しく知りたい方は、
ラマダーンのルールや禁止事項(注意事項)をまとめてみた!
イスラム教では、青年以上の男女は1ヶ月間毎日(日の出から日没まで)断食します。この記事では、ラマダーン中の様々なルールや礼拝までの時間の過ごし方、礼拝方法、断食の禁止事項、例外パターン、断食を行わなくて良い人達の例などについて分かり易く解説!
こちらの記事をお読み下さい。
ラマダーン月の例外日
新月なので月はとても細かく、地平線の上に登っている時間は日没直後の短い時間です。
なので、天気が悪かったり空気が澄んでいなければ月を見つけるのは大変難しいです。
もし誰も月を見つけることができなかった場合、翌日にラマダーン月が始まります。
こういう事情もあり、国によってラマダーンの始まる日というのは違うのです。
日本では新月が確認できなかった場合、一番近いイスラームの国であるマレーシアの日程に合わせることになっています。
ラマダーンの終わりの夜
イスラームで非常に重要な夜のことを「ライラトゥ・ル ・カドゥル(力の夜)」と言います。
アッラー(神)はムスリム(イスラム教徒)たちにとっての聖書であるクルアーン(コーランとも言う)で次のように語っています。
我はこの啓示をライラトゥ・ル ・カドゥル(力の夜)に下した。力の夜が何であるかをお前に理解させるものは何か?この一夜は精神的価値において千月にも優る
さらに、こう続けます。
その夜、天使と聖霊たちは我の許しの下に、天上からあらゆる所に舞い降りる。暁の明けるまでそれは平安である
この力の夜が、何日になるのかははっきりと分かっていません。
しかし、ラマダーン月の最後の10日に探さなければなりません。
ラマダーン月:21日・23日・25日・27日・29日
は可能性が高く、特に27日(の前夜)の可能性が最も高いと言われています。
そこでムスリム(イスラム教徒)は、この夜を求めて毎晩祈りに時を費やすのです。
イスラムにおける夜とは、マグリブ(日没)からファジュル(夜明け前)までを意味します。
その時間の中で、最も祈りが聞き届けられ、精神的に重要な時間は夜の最後の三分の一です。
この時間に起きて「タハッジュド (深夜礼拝)」をすることには大きな価値があります。
イイティカーフのやり方
礼拝堂であるモスク(マスジドとも言う)の中に、一定期間泊まりこみ勤行やお祈りをして籠もることを「イイティカーフ(お籠もり)」と言います。
世間から離れて、断食やアッラー(神)への1日5回のサラート(礼拝)、クルアーンを読んだりして時間を費やす事により、普通の祈り以上の精神的な恩恵を受けます。
イイティカーフの状態にある人は、眠っていても祈っているのと同じ状態にあると見なされるそうです。
ラマダーン月20日の日没前、お籠もりの準備をしてマスジドに入り、
イイティカーフをします
という意志表明をします。
ひとたびイイテイカーフが始まったら、正当な理由なしに中断した場合、その分を後でやり直さなければいけません。
お籠もり中は、通常の生活をすることは許されません。
また、基本的にマスジドの外に出ることができません。
飲食や睡眠、着替えなど全てモスクの中で行ないます。
しかし、イイティカーフ中に外出しても許されるのは、
- 便所に行くこと
- 風呂に入ること
- 家に食べ物をとりに行くこと(食事はモスクの中で行う)
- 他のモスクへ行くこと(金曜礼拝がない場合)
の場合です。
これらが全てモスク内にない場合の外出は基本的に許されます。
それ以外の理由の外出は、イイティカーフを破ることになります。
特にラマダーン月の最後の10日間には、ライラトゥ・ル ・カドゥル(力の夜)のチャンスがあるので、深夜礼拝は欠かさず行なうようにします。
女性の場合は、自分の家の一角をイイテイカーフ専用の場所に定め、その中に籠もります。
男性がマスジドに籠もる場合と同様、イイティカーフの最中は定められた理由なしにそこから出ることは許されません。
ですから食事も家族の誰かに作ってもらうことになります。
他にも、ラマダーン月の断食についての記事はまだまだあります。
さらに詳しく知りたい方は、
これらの記事を併せてお読み下さいませ。
旧約・新約聖書のあらすじから、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教までを1冊の本でまとめたものがあります。
聖書の基本から発展編まで、さらに深く知りたい方には持って来いの本なので、
気になる方は、こちらの本もぜひ読んでみて下さい。
参考 : 『ラマダーン』・『イスラーム アキーダとイバーダ』