『歴代誌』と『列王記』はどちらも旧約聖書の中にあるユダヤの歴史書です。
古代イスラエルの歴史を知る上で、この2つの書は重要な手がかりとなっています。
ですが、この2つの書はとても似通っていて、何が違うのかが分かりづらくもあります。
この記事では、そんな『歴代誌』と『列王記』の特徴や違いについて解説していきます!
『歴代誌』とは?
旧約聖書の中にあるユダヤの歴史書の内の1つで、『歴代誌』という書名は聖書の日本語訳者によって様々に表記されます。
例えば、このような感じで訳されます。
- 歴代志
- 歴代史
- 歴代の書
- 歴代誌略
『歴代誌』を大きく分けると、
と2巻に分かれています。
ユダヤ教の『歴代誌』
同じ旧約聖書の歴史書である『サムエル記』や『列王記』と内容が重複しています。
なので、ユダヤ教では預言書ではなく「諸書(多くのいろいろな書物)」の1つになっています。
キリスト教の『歴代誌』
キリスト教では歴史書として『列王記』と同じように扱われていて、その後におさめられています。
『歴代誌』という題名はキリスト教の聖職者・神学者ヒエロニムスが初めて使用したものです。
ギリシア語聖書では、『歴代誌』は『列王記』などの歴史書の補足的な意味があります。
『歴代誌』の著者は?
この書物の原作者は伝統的にはエズラと伝えられています。
なぜなら、文体や記述方法がエズラと似ているからです。
『エズラ記』や『ネヘミヤ記』と同じ著者グループによって書かれたものではないか?
とも考えられています。
『歴代誌』の内容
内容は『サムエル記』や『列王記』を元にしながらも、独自の資料を使ってイスラエルの歴史を書いています。
特徴としては、
- 神殿についての記述
- 職制の人名リストが多い
- 北イスラエル王国の歴史を無視
などが挙げられます。
『列王記』とは?
旧約聖書の中の古代ユダヤの歴史書の1つです。
元々は『サムエル記』とあわせて1つの書物でしたが、それが分けられたようです。
また、『列王記』自体も上下に分かれていますが、これは現存する最古の旧約聖書の翻訳の一つである七十人訳聖書以来の伝統です。
『列王記』を大きく分けると、
と上下2巻に分かれています。
『列王記』の著者は?
『歴代誌』や『サムエル記』と似ている書であっても著者は全く違います。
『列王記』の書物の原作者は、
エレミヤではないか?
と伝統的に伝えられています。
そんなエレミヤについて書かれた『エレミヤ書』についてさらに詳しく知りたい方は、
エレミヤ書のあらすじとは?預言者の生涯をまとめて解説!
旧約聖書における三大預言書のうちの一つとされている『エレミヤ書』ですが、そこに登場する預言者エレミヤとはどのような人物だったのか?エレミヤが行った預言とは?そして、その預言によって彼が辿った運命とは?分かりやすく解説!
こちらの記事をお読み下さい。
『列王記』の内容
内容的には『サムエル記』の後を書いており、『歴代誌』とは一部内容が重複しています。
内容の違いまとめ
ここで、この2つの歴史書『歴代誌』と『列王記』の違いについてまとめると以下になります。
- 歴史書の内容は全て一緒ではない(一部重複)
- それぞれの著者が違う(歴代誌:エズラ・列王記:エレミヤ)
- 元々『列王記』は『サムエル記』と1つだった
ちなみに、同じ歴史書の一つ『サムエル記』についてさらに詳しく知りたい方は、
サムエル記の登場人物から見たストーリーのあらすじを解説!
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