インマヌエルの意味はユダヤ教とキリスト教によって解釈が違ってきます。
そもそもインマヌエルって誰なの?
と思う方もいるでしょう。
この記事では、
ユダヤ教とキリスト教のインマヌエルの正体
について詳しく解説していきます。
インマヌエルとは?
インマヌエルとは旧約聖書に登場する人物のことを言います。
『イザヤ書』の中でその誕生が預言されていてます。
そんな『イザヤ書』について詳しく知りたい方は、
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また、キリスト教の新約聖書『マタイによる福音書』にも登場します。
インマヌエルは2つの言葉を組み合わせた名前で、
インマヌ(われらとともにいる)+エル(神)=神はわれらとともに
という意味があります。
『イザヤ書』のインマヌエル
預言者イザヤがいた時代には、ユダヤ人の王国は北のイスラエル王国と南のユダ王国に分かれていました。
なぜイスラエルは南北に分裂したの?
と疑問に思った方は、
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インマヌエルという「しるし」
南北分裂直後から南北共にアッシリアの圧力が高まります。
アッシリアに従います
という姿勢をユダ王国の王アハズは取っていましたが、
大変です、王様!アッシリアに敵対する2大勢力アラムとイスラエルが同盟を組みました…
という知らせが届きました。
もしかしたら、同盟軍が攻めて来るんじゃ…
とユダ王国の王も民衆も侵略の脅威の前に動揺していました。
『イザヤ書』によれば、預言者イザヤはこの時アズハ王のところに行き、
事態を恐れずに神に従って下さい。そうすれば、アラムとイスラエルの侵略も成功しないでしょうから
という神からの言葉をアハズ王に伝えます。
本当に、それは神が言った言葉なのか…?
とアハズ王は神の言葉を受け取るのをためらいます。
しかし、この王の態度に対して
もし信じないのであれば、
という言葉からイザヤはこう続けます。
乙女が身ごもり、インマヌエルという名の男の子が生まれます。それがあなた達へのしるしとなるでしょう。
さらに、預言者イザヤはこう続けました。
インマヌエルが大きくなる前にアラムもイスラエルも崩れ落ち、諸国が荒廃する代わりにユダには未だかつてないほどの繁栄が訪れるでしょう
イザヤに従わなかった結果…
場面は変わり、イザヤに二男が生まれます。
そして、神にこう告げられます。
マヘル・シャラル・ハシュ・バズ(分捕りは早く、略奪は速やかに来る)という名を付けるように
そして、イザヤはこう述べます。
その子が大きくなるまでに、アッシリアがアラムもイスラエルも征服してユダに迫るだろうが、神が我らと共にある(インマヌエル)ため諸国の同盟軍がユダ征服に成功することはないだろう
さらに、イザヤはこうも説いています。
恐れるべきは敵軍ではなく神だ。苦悩と闇から逃れる手はないが、その先には希望がある
しかし、結局アハズ王はイザヤの言葉に従わずアッシリアに従いました。
他の軍をよこせ!
とさらには援軍をも求めたのです。
その結果、アッシリアによってアラムもイスラエルも征服され、ユダも属国となり荒廃してしまうのでした。
キリスト教のインマヌエル
キリスト教の誕生後は、
インマヌエルとは聖母マリアの処女懐胎(処女のまま子を宿すこと)のことを指す
と解釈されるようになって行きました。
しかし、『イザヤ書』にある「乙女」は「若い娘」と本来は訳すべきで、
マリアの処女懐胎はこの誤訳の産物だ
といった説もあり、未だ真相は分かっていません。
神はイエス誕生よりも前のアハズ王の時代に向けてしるしを送ると述べている。また、インマヌエルが救い主だとは述べていない
といった理由から、この予言をユダヤ教ではメシア出現の予言とは考えていません。
このように、メシアに対する考え方はユダヤ教・キリスト教・イスラム教によって違います。
メシアとは何者なの?
と気になる方は、
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ちなみに、インマヌエルはイマヌエル・カントのように、キリスト教徒のファーストネームに広くつけられるようになって行きました。
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