『イザヤ書』とは旧約聖書の一書のことを言います。
『エレミヤ書』や『エゼキエル書』を併せた三大預言書の1つでもあります。
他の2つの書についてさらに詳しく知りたい方は、
これらの記事をお読み下さい。
聖書の内容としては、紀元前8世紀の預言者イザヤについて書かれており、全部で66章からなります。
そんなイザヤ書の内容とは一体どんなものなのでしょうか?
『イザヤ書』の内容とは?
高等批評(文書の起源の批判的調査)を受け入れる学者の中には、以下のように考える説があります。
1~39章 | 第1イザヤ |
---|---|
40章以下 | 第2イザヤ |
56章以下 | 第3イザヤ |
複数イザヤ説の立場には、大きく前半と後半に分けることができます。
なので、前半の39章を『第1イザヤ書』と呼ぶ学者もいます。
一方、高等批評の立場では、
この『第1イザヤ書』のみが紀元前8世紀の預言者イザヤ自身によって語られた
と考えています。
第1イザヤ書(1~39章)
預言者イザヤが繰り返し
アモツの子
と神によってそう呼ばれているので、
預言者アモスの子である
と教父アウグスティヌスはその著書『神の国』の中でそう記しました。
預言者アモスの活動後に、
約10年ほどして、イザヤは召命(神に呼び出されること)されたのでは?
と考えられています。
また、イザヤは他の預言者であるアモスやホセアとは違った特徴が以下にあります。
預言者 | 活動場所 | 主な内容 |
---|---|---|
アモス・ホセア | 北王国イスラエルで活動 | 主に出エジプトの伝承 |
イザヤ | 南王国ユダの首都エルサレムで活動(宮廷預言者) | ダヴィデ王家とシオン(エルサレム)の選びの伝承 |
この表を見た時に、
いやー、イスラエル王国の歴史とかホントよく分からないわ…
と思った方はこちらの記事を参考にしてみて下さい。
『イスラエル王国』とは?成立から全盛期までの歴史を解説!
旧約聖書とも深い関りのあるイスラエル王国の歴史。ユダヤ教を知る上で、この時代の知識は欠かせません。そんな統一王国であったイスラエル王国についての始まりから全盛期までの歴史について分かり易く解説してみました!
南王国ユダで活躍したイザヤとほぼ同時代に活動した預言者ミカがいますが、彼はエルサレムの徹底的な破壊をも預言した点がイザヤとは違います。
また、イザヤのエルサレムでの活動は、
現実の政治権力への接近がおそらくあっただろう
と考えられている点で重要です。
預言者イザヤはユダ王国の王であったヒゼキヤ王の即位時に役割を果たしたとされています。
各章のあらすじをまとめると以下になります。
1章 | 『アモス書』にあるような生贄祭儀批判 |
---|---|
2章 | 人間の傲慢と戦争が非難の対象(イザヤの預言の重要な主題の1つ) |
6章 | 召命記事 |
7-8章 | インマヌエル預言 |
13-14章 | バビロニアに関する預言 |
24-27章 | 黙示的(バビロン捕囚以後) |
34-35章 | 第2イザヤ書に類似 |
36-38章 | アッシリア王センナケリブによる侵略が描かれる |
各章は必ずしも年代順に編集されている訳ではなく、
召命記事は最初に当然置かれるべきだ
と思われていたりしますが、実際は6章に置かれています。
第2イザヤ書(40章以下)
45章15節には「隠れた神」への言及が見られます。
『第2イザヤ書』で最も良く知られているのは、「主の僕(しもべ)」に関することです。
『第2イザヤ書』には、「僕(しもべ)の歌」と呼ばれる箇所があることが一般的に知られています。
「僕(しもべ)」って誰なの?
という問題については未だ論争があります。
この「僕の歌」は苦難に意味を見出した極めて重要な箇所でもあります。
「僕(しもべ)」の犠牲や代償を捧げて罪をあがなう死は、イエス・キリストを預言したものとしてキリスト教で重視されました。
預言者イザヤのあらすじ
イザヤとは旧約聖書に登場する預言者です。
名前はヘブライ語で「ヤハウェは救いなり」を意味します。
ヤハウェとは神を意味する言葉です。
ヤハウェについてさらに詳しく知りたい方は、
ヤハウェとは?謎の創造神についての正体を分かり易く解説!
かつて神は「ヤハウェ」と呼ばれていました。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教全ての宗教に共通する神(ヤハウェ)とは、どういった存在なのでしょうか?意外と深い話なので、こういう宗教関係に興味ある方はぜひ!
こちらの記事を参考にしてみて下さい。
正教会では「イサイヤ」と呼ばれ聖人とされています。
『イザヤ書』によればイザヤは結婚していて、彼の妻ツィポラは女預言者と呼ばれていたそうです。
そして、2人の息子それぞれに神の啓示による象徴的な名前を付けました。
イザヤはユダ王国の不正を糾弾し、バビロンへの流刑を警告しました。
ユダ王国?バビロン?
となった方は「バビロン捕囚」についての記事を読みましょう。
バビロン捕囚とは?分かりやすく歴史的背景を解説してみた!
世界史で『バビロン捕囚』と聞いたことはないでしょうか?バビロン捕囚をきっかけにユダヤ教が誕生しました。どのようにして、ユダヤ人達が宗教的な結びつきを強めていったか?この記事で詳しく解説してます!
また、イザヤ書でこうも予告しています。
バビロンはキュロスの手に落ち、シオン(イスラエルのエルサレム地方の歴史的地名)は回復する
さらに、メシア(油を塗られた者)に関する預言を告げ将来への希望を伝えました。
旧約聖書のあらすじを漫画で分かり易くまとめたものがあります。
イラストで旧約聖書をざっと理解したい方は、
こちらの本もぜひ読んでみて下さい。
旧約・新約聖書のあらすじから、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教までを1冊の本でまとめたものがあります。
聖書の基本から発展編まで、さらに深く知りたい方には持って来いの本なので、
気になる方は、こちらの本もぜひ読んでみて下さい。
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