神と戦った男として旧約聖書の『創世記』に登場するヤコブ。
神と戦うってどういうこと？
そもそもなぜ神と戦うことになったの？
そんな疑問をお持ちの方も多い事でしょう。
そんなイサクの息子である彼の生涯を覗いてみましょう！
ちなみに父親であるイサクについての記事も別にありますので、
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ヤコブ、長子の祝福受ける
ヤコブの家族関係をまとめると、
- 父：イサク
- 母：リベカ
- 双子の兄：エサウ
となります。
エサウは狩人になり、父イサクから大変愛されていました。
長子の祝福を受けるのはエサウだ
と誰もが信じて疑いませんでした。
しかし、とある日のこと。
あー、腹減った
あっエサウ兄さんおかえり
なんだ、ヤコブ。お前の作ったレンズマメの煮物美味そうだな。それ、俺にくれよ
えっ、でも…
あー分かった分かった。じゃあ、それをくれたら、俺の長男としての権利を全部お前にやるから
えっ、いいの？
あぁ、いいとも
こうしてエサウは本当に軽い気持ちで長子の権利をヤコブに譲る口約束をしてしまいます。
本来ならばこんな口約束を本気にする人は少ないのかもしれませんが、このやり取りをしっかりと目撃していた人がいました。
それが母親のリベカです。
ヤコブ。エサウもあぁ言ったんだから、お父様からの長子の祝福を受けるのはあなたよ
母のリベカはヤコブを大変可愛がっていたのです。
でも、僕、弟だし…
大丈夫よ。エサウのふりをしてお父様の前に出ればいいの。お父様はもう歳で目が見えなくなっているし、気付くはずないわ
こうしてリベカに知恵をつけられたヤコブは本当に父親のイサクから長子としての祝福を受けてしまいます。
これにブチ切れたのがエサウです。
ふざけんなヤコブ！！殺してやる！！
エサウがヤコブを殺そうとしていることを察知したリベカはヤコブを逃がします。
とにかくエサウから離れて。あなた、殺されるわよ。私の兄のラバンの元に行きなさい。私から話はつけてあるから
分かった。ありがとう母さん
こうして、ヤコブはエサウから逃げるように街を旅立ったのでした。
ヤコブ、階段の夢を見る
エサウの元へ逃げているヤコブは途中、不思議な夢をみます。
これは…階段？
夢の中でヤコブは天使が上り下りしている天と地上を繋ぐ階段（梯子）を見たのです。
そして神から
お前（ヤコブ）の子孫が偉大な民族になるだろう
という約束を受けます。
この夢を「ヤコブの梯子」と言います。
そして夢を見たヤコブは無事にリベカの兄ラバンの元へとたどり着くことが出来ました。
ラバンの元へと身を寄せたヤコブは大きな財産を築くことになります。
ヤコブ、天使と格闘する
20年間ラバンの元で暮らしていたヤコブですが、どうしても兄のことが忘れられませんでした。
このままじゃやっぱりだめだ！エサウ兄さんと和解しないと！
そこでヤコブは兄エサウの元へ使いを出し、会いに行くことを決心します。
しかし、使いが戻ってくると驚くべき事実を告げられます。
エサウ様は会いに来てもいいと言っています
そっか！良かった
しかし、エサウ様はその…お供を400人連れて迎えるとおっしゃっています
えっ…
400人のお供を連れていると聞いて、ヤコブはビビりまくります。
やっぱりエサウ兄さんは僕のことをまだ許していないんだ。でも、ここまで来て引き返すことも出来ない
ヤコブは重い気持ちを引きずりながらエサウへの元へと向かいます。
その旅の途中、ヤボク川がありました。
ヤコブは夜中、先に一族にヤボク川を渡らせました。
そして、最後に自分が川を渡ろうとしたヤコブは不思議な人物に組みつかれました。
あ、あなたは何者ですか！？
ヤコブは謎の人物と一晩中格闘をした末、夜明け前にどうしても食い下がるヤコブに対し、相手はついに名乗りました。
私は天使です
えぇっ？！
と相手の正体にヤコブは驚きました。
さらに、天使はヤコブにこう言いました。
神と戦った者を意味するイスラエル（「イシャラー（勝つ者）」「エル（神）」の複合名詞）を名乗るように
そして、祝福して去っていきました。
ヤコブ、エサウと再会する
そして、ついにヤコブはエサウの元へたどり着きました。
ヤコブは兄エサウの前でひたすら低姿勢を貫きました。
そんなヤコブにエサウは言いました。
ヤコブ。私はもうお前を恨んではいない。お前に会えて、本当に嬉しい
そして、エサウはそっとヤコブを抱擁しました。
兄さん…！
ヤコブは泣きました。
エサウもまた泣いていました。
こうして20年以上にも渡る兄弟の確執は終わったのです。
その後ヤコブは4人の妻と12人の息子に恵まれました。
この12人の息子が「イスラエル12部族」の祖になったと伝えられています。
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参考：『ヤコブ (旧約聖書)』
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