日本人ならば一度は耳にし、食べたことがある七草がゆ。
七草がゆは1月7日に食べるのが一般的です。
- セリ
- ナズナ
- ゴ(オ)ギョウ
- ハコベラ
- ホトケノザ
- スズナ
- スズシロ
という七種類の草をお粥と一緒に食べるというこの料理ですが、逸話があるのをご存知でしょうか?
七草がゆの逸話とは『お伽草子』の中にある『七草草子』に描かれています。
『お伽草子』と言えば『一寸法師』なんかも有名ですね。
ここでは、七草がゆのストーリーをざっくりとご紹介していきたいと思います!
親孝行者の大しうの願い
物語の舞台は唐(昔の中国)です。
主人公は親孝行者の大しうという人物です。
父さん、母さん、無理しちゃダメだよ
大しう、お前ばかりに負担をかけてすまないねぇ
何を言っているんだ。二人とももう百歳を超えているんだから、身体を大事にしなくちゃ
そうだねぇ…。歳をとると身体が動かなくなるから悲しいねぇ
大しうの両親は百歳を超えていたため、身体が思うようには動かなくなっていました。
父さんと母さんのために出来ることは何かないだろうか
そんな両親の様子を見て嘆き悲しんでいた大しうは一つの決心をします。
よしっ、山に入って神様に祈願しよう
そう決めた大しうは二十一日間もの間、山にこもり苦行を行いながら祈願しました。
私に老いを移してもいいので、どうか両親を若返らしてください
大しう、帝釈天よりお告げをもらう
山の中で祈祷を続ける大しうに、天上におられる帝釈天よりお告げがありました。
あなたの願いを確かに聞きました。須弥山の南に齢8000年のガチョウがいます。その秘術をあなたに教えましょう
あ、ありがとうございます!
こうして帝釈天は大しうに長寿の秘伝を伝えました。
あなたの両親に毎年春のはじめに七種類の草を食べさせるようにしてください。1月6日までに7種類の草を集めておいてください。そして、柳で作った器に草を入れて、玉椿の枝で叩いてください。叩く草の種類と時間はそれぞれありますので、間違えないようにしてください
帝釈天は七つの草の種類とそれをいつ叩くのかを事細かく指示しました。
それが以下の通りです。
- 酉の刻(18時頃)から芹
- 戌の刻(20時頃)から薺
- 亥の刻(22時頃)から御形
- 子の刻(24時頃)から田平子
- 丑の刻(2時頃)から仏座
- 寅の刻(4時頃)から菘
- 卯の刻(6時頃)から清白
帝釈天はさらに続けます。
辰の刻(8時頃)からこれらを合わせて、東から水を汲んできて、これを煮て食べてください。一口で10歳、七口で70歳若返るので、あなた方も8000年生きることができるはずです
帝釈天のお告げに大しうは大変感謝しました。
本当にありがとうございます!さっそくやってみます!
大しうの両親、若返る
大しうが帝釈天よりお告げを受けたのが正月だったので、すぐに山を降りて7種類の草を集めてました。
そして1月6日、帝釈天の教えの通りに夕方ごろより玉椿の枝で大しうは枝を叩き出しました。
なんだか不思議な気持ちがするなぁ。これで父さんと母さんが若返ったらいいけれど
大しうは夜通し草を叩きました。
そして1月7日の朝、東から汲んできた水でそれらを炊いて両親に食べさせました。
あら、不思議だわ。なんだか若返ったみたい
ありがとう、大しう
七草を食べた大しうの両親はたちまち若返り、その噂はすぐさま広がり、なんと帝の元まで届きました。
なんと親孝行者がいることよ
帝は大しうの親孝行にひどく感動し、位を譲ったとのことです。
めでたし、めでたし。
なんと、七草がゆの逸話とは親孝行物語だったのです。
これから七草がゆを食べる時は、両親のことをぜひ思い出してみていただけたらと思います!
参考:『七草がゆ』
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