古代ギリシアの偉大な哲学者ソクラテス。
彼はアテナイに生まれ、その生涯のほとんどをアテナイで過ごしました。
ソクラテスはなぜ偉大な哲学者となったのか。
そして偉大な哲学者なのにも関わらず、なぜ最期は死刑になってしまったのか。
この記事では哲学者ソクラテスの生涯についてご紹介しようと思います。
ソクラテス、神託を受ける
ソクラテスの独特の思想やスタイルが形成されるきっかけになったのは、彼の弟子の一人であるカイレフォンがアポロンの神託所に行ったことでした。
カイレフォンは神託所にいた巫女に聞きました。
ソクラテス先生以上に賢い人ってこの世に存在するんですか?
それを聞いた巫女は言いました。
ソクラテス以上の賢者は一人もいません
このことをカイレフォンがソクラテスに伝えると、ソクラテス自身はとても驚きました。
私以上に賢い人がこの世にいないだと?そんなはずはない。なぜなら私はそんなに賢い人ではないからだ!
しかし、神の神託は絶対なはず…。
さんざん悩んだソクラテスは一つのことを決心します。
よし、世間で賢いとされている人と会って議論をしたら、自分よりも賢い人がいることが分かるだろう
ソクラテスは様々な人と議論を交わすことで神の神託を反証しようと考えたのでした。
ソクラテス、反証を試みる
こうして、ソクラテスは様々な賢者と呼ばれる人々(政治家や詩人など)に出会って議論をしていくことになります。
しかし、やって見てるとびっくり仰天。
彼らは自分たちが語っていることをよく理解いなかったのです。
ソクラテスは彼らにいちいち説明するはめになってしまいました。
そして、ソクラテスは思いました。
そうか。私は自分が無知であることを知っていたのだな。知らないことを知っていると思い込んでいる人よりかは無知であることを知っている人の方が知恵の上で少しは優れている
彼のその想いは時が経つにつれて強くなり、ソクラテスは一つの真理に導かれます。
神の神託において私(ソクラテス)の名前が出されたことなどただの一例にしかすぎないのだ。人の知恵の価値などないに等しい。最大の賢者とは、自分の知恵が実際には無価値であることを自覚している者のことだ!
こうして彼はその真理を人々に指摘していくことが「神への奉仕」であると信じ、報酬を受け取るわけでもなく、家庭のことも省みず極貧生活をしながら、出会った賢者たちの無知を指摘していくことをライフワークにしていったのです。
ソクラテス、訴えられる
ソクラテスが使命感をもって賢者たちの無知さを暴いていくことは、彼が本物の賢者であることを認めさせる一方で、無知を指摘された人々から恨みをかっていました。
ソクラテスめ…。あいつのせいで、俺は馬鹿にされるようになった。あいつさえいなければ…!
そんなことを思った人もたくさんいたことでしょう。
また、当時のアテナイはペロポネソス戦争でスパルタに負けてしまい、その後アテナイで恐怖政治を行った三十人政権が誕生していました。
そのために、アテナイの市民の不満が高まっていました。
そんな中で、このペロポネソス戦争を指導したアルキビアデスや、スパルタによる三十人政権の指導者となったクリティアスが
ソクラテスの弟子だ
と見なされていたこともソクラテスを攻撃する絶好の口実でした。
そして、ソクラテスは
アテナイの国家が信じる神々とは異なる神々を信じ若者を堕落させた
などの罪で公開裁判にかけられることになりました。
裁判の間、ソクラテスは自分の行為を謝罪したり、言い訳をしたりすることは全くありませんでした。
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そして、判決はソクラテスの死刑を確定したのでした。
ソクラテス、死刑になる
死刑判決が出てその刑が執行されるまでの間、プラトンなどの弟子達がソクラテスに逃亡・亡命を勧めました。
先生、逃げましょう。このまま死刑になることないです。牢番にお金を握らせれば脱獄出来ます
しかし、ソクラテスはその言葉に首を縦に振ることはありませんでした。
ソクラテスに同情し、鉄格子の鍵を開けていた牢番がいたのにも関わらず、ソクラテスは逃げなかったのです。
彼は言いました。
単に生きるのではなく、善く生きたいのです
こうしてソクラテスの死刑は執行され、彼はドクニンジンの杯を飲んで、その生涯を閉じました。
しかし、ソクラテスの影響は後世にいつまでも続いていくのです。
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参考:『ソクラテス』
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