ギリシャ神話のオリュンポス十二神にも選ばれているアポローン(アポロン)は、ギリシャ神話の中では比較的有名な神に当たるのではないでしょうか。
ギリシャ神話の絶対神ゼウスの息子に始まり、
- 詩歌や音楽などの芸能・芸術の神
- 羊飼いの守護神
- 疾病の矢を放ち男を急死させる神
- 病を払う治療神
- 神託を受ける予言の神
などが有名な肩書きです。
もはや多すぎて、何の神様なのかよく分かりませんね。
しかし、そんな彼ですが、恋愛方面ではなぜだか悲しいお話が多いのです。
そんなアポローンの恋愛から見えてくる彼の性格とは一体どんなものだったのか?
アポローンとダプネーの月桂冠
昔あるところにダプネーというニュンペー(若くて美しい女性の精霊)がいました。
アポローンはエロースが弓矢で遊んでいる姿を見て彼をからかいました。
お前の持つ弓って本当に小さいよな。それで上手く弓がうてるのか?
からかわれたエロースは大激怒。
アポローン、見てろよ!
エロースはアポローンに向かって黄金の矢をうちました。
黄金の矢とは当たれば激しい愛情を芽生えさせる矢です。
そして、たまたま近くで川遊びをしていたダプネーに鉛の矢をうちました。
鉛の矢は黄金の矢とは真逆で、当たれば愛情を拒絶させる矢でした。
それぞれの矢をうったエロースについてさらに詳しく知りたい方は、
愛の神エロスの恋物語!アモルとプシュケーのあらすじとは?
キューピッドの語源ともなっているギリシャ神話のエロース(エロス)のお話ってどんなもの?愛と性と美の女神アプロディーテーを母親にもつ、恋心と性愛を司るエロースの純愛ストーリーを小説風にしてご紹介!
こちらの記事をお読み下さい。
さぁ、エロースの黄金の矢が当たったアポローンはすぐさまダプネーに恋をしました。
なんて美しいんだ!僕、アポローンって言います。あなたが好きです、愛しています!
しかし、ダプネーは鉛の矢が当たっているので、アポローンの愛情を拒絶します。
なんですか、あなた!嫌です、こっちに来ないでください!
エロースの悪戯によって激しい恋に落ちてしまったアポローンはひたすらダプネーを追いかけました。
そして、ダプネーはひたすらアポローンから逃げました。
しかし、ダプネーの体力が限界に達した時、彼女は河の神である自分の父親に祈りました。
お父様、どうかお助けください!
アポローンが追い詰めたダプネーの腕に触れかけた時、その願いが聞き入れられ、ダプネーは月桂樹(げっけいじゅ)に変身しました。
あぁ、なんてことだ…
目の前で好きな人が月桂樹に変わってしまいアポローンは絶望します。
失意のどん底だったアポローンですが、
せめて私の聖樹になってくれませんか?
とダプネーにお願いします。
ダプネーは枝を揺らして頷き、月桂樹の葉をアポローンの頭に落としました。
それ以降、アポローンは月桂冠(げっけいかん)を永遠に身に着けているのです。
カッサンドラーの悲しい予言
カッサンドラーはトロイアという国の王様の娘でした。
アポローンはカッサンドラーの美貌の虜になり、求愛します。
なんと美しい人だ。どうか、僕の愛を受け入れてください。もし、僕の愛を受け入れてくれたら「百発百中の予言能力」を授けましょう
あら、なんて素敵なことでしょう。分かりました。あなたの愛を受け入れます
こうしてカッサンドラーはアポローンより、「百発百中の予言能力」を手に入れました。
すると、みるみるうちにカッサンドラーの表情が変わっていきました。
どうしましたか?
私、あなたとは付き合えません!
えぇ!
カッサンドラーが最初に見た予言は「アポローンに弄ばれたあげく、捨てられる自分の運命」でした。
そのため、カッサンドラーはアポローンのもとから離れました。
なんてことだ!もういい!「カッサンドラーの予言は誰も信じない」という呪いをかけてやる!
こうして、カッサンドラーは「百発百中の予言能力」と「カッサンドラーの予言は誰も信じない」という二つの矛盾した能力が与えられてしまったのです。
そして、トロイア戦争が始まったのです。
カッサンドラーはトロイアが戦争によって悲劇的滅亡に向かうことを予言で見てしまうのです。
お父様!この戦争は危険です!すぐにお止めください!
しかし、「カッサンドラーの予言は誰も信じない」というアポローンの呪いにより、誰もカッサンドラーのことを信じる者はおらず、結果トロイアは滅亡してしまうのです。
美少年のヒュアキントス
ヒュアキントスとはスパルタという町に生まれた美少年です。
あまりに美しい美少年で、アポローンと西風の神ゼピュロスがヒュアキントスに心を寄せていました。
ある日、ヒュアキントスはアポローンと一緒に円盤投げを楽しんでいました。
その様子を見ていたゼピュロスは面白くありません。
なんでヒュアキントスはアポローンとばかり遊ぶんだ!ふざけんなよ!こうしてやる!
ゼピュロスはアポローンが投げた円盤を風で方向を狂わせました。
ヒュアキントス!危ない!
なんと、その方向が狂った円盤はヒュアキントスの頭部に直撃しました。
そんな…。ヒュアキントス…
頭から血を流すヒュアキントスを見て、アポローンは嘆き悲しみました。
そして、そのヒュアキントスから流れ出る真っ赤な血から赤い花が咲きました。
その花の名前は美しくも亡くなった少年よりヒュアキントス(ヒアシンス)と呼ばれるようになりました。
ちなみに、アポローンには息子であるアスクレピーオスがいます。
そんな彼の息子アスクレピーオスのエピソードを知りたい方は、
ギリシャ神話のアポローンの息子「アスクレピーオス」とは?
ギリシャ神話のアポロンの息子アスクレピーオスは医学の天才だった!?彼はアポローンと人間の娘コローニスとの間の子供でした。人を生き返らせることすら出来たアスクレピーオス。そんな彼の壮絶な逸話をご紹介しています!
こちらの記事をお読み下さい。
ギリシャ神話を実は漫画で分かり易く読むことが出来ます!
あのオリエンタルラジオのあっちゃんこと「中田敦彦のYouTube大学」でも紹介された漫画です。
ギリシャ神話をイラストと共にざっと理解されたい方は、
こちらの漫画もぜひ読んでみて下さい。
参考:『アポローン』
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