ギリシャ神話に登場するディオニュソースはブドウ酒と酩酊の神です。
お酒の神という彼ですが、オリュンポス十二神に数えられることもある偉大な神であり、その生涯(?)は波乱に満ちたものがありました。
彼は自らの神性を人々に証明するために各国を放浪するという少し他の神とは異なったエピソードも多いです。
ここではそんなディオニューソスについてご紹介します!
ディオニューソスの誕生
ディオニューソスはギリシャ神話の絶対神であるゼウスと人間であるセメレーを母親にもつ神様です。
ゼウスは正妻にヘーラーがいましたが、浮気性で様々な浮気を繰り返していました。
ゼウスの浮気についてはこちらの記事にて数多くご紹介させていただいていますので、
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よろしければご覧ください。
ゼウスの浮気相手は数えられないくらいいるのですが、その浮気相手の一人がディオニューソスの母親のセメレーでした。
もちろん正妻のヘーラーがゼウスの浮気について良く思うわけもなく、ヘーラーの怒りが毎回のように爆発します。
このヘーラーの怒りによって、セメレーは命を落とすことになるのです。
詳細はこちらの記事にて紹介していますので、
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どうぞまずはこちらの記事をご覧ください。
このヘーラーの制裁によりセメレーは焼死体となり、その焼死体から取り上げられた胎児がゼウスの腿(もも)に三か月間入れられ、誕生したのがディオニューソスでした。
ディオニューソスの不幸
生まれたディオニューソスはセメレーの姉妹であるイーノーに娘として匿(かくま)われるように育てられました。
イーノーの夫であるアタマースもこれを黙認しました。
しかし、このことを面白く思わなかったのがヘーラーです。
まずはアタマースを狂わせてやるわ!
こうしてヘーラーによりアマタースは狂気を吹き込まれてしまいました。
あんなところに白い鹿がいる…。早く殺さなければ…
アマタースが鹿だと思って矢を射たのは息子のレアルコスでした。
あなた、一体何をしているの…!どうしてレアルコスが死んでいるのよ!
この夫の狂気に当てられたイーノーもまた狂ってしまい、沸騰したお湯の中にもう一人の息子であるメリケルテースを入れて殺し、その遺体を抱えて海に飛び込みました。
恐ろしすぎるヘーラーの呪い…。
しかし、ゼウスはディオニューソスを育てた恩義に報いて以下のようにしました。
- イーノー:女神レウコテアー
- メリケルテース:海神パライモーン
人間が神に変わったのです。
ディオニューソス、放浪する
その後、成長したディオニューソスはブドウ栽培などを身につけて各国を放浪することになります。
そして、その放浪を通して自らの神性を認めさせるために、信者獲得に勤しむことになります。
この点がディオニューソスが他の神々と大きく違うところだと思います。
彼は最初から神様として認められていた訳ではなく、自分で信者を獲得するというなんだか苦労人のようなところがあるように思います。
そして、そんなディオニューソスには踊り狂う信者や、サテュロス(半人半獣の自然の精霊)が付き従ったと言います。
ディオニューソスはギリシャやエジプト、シリア、そしてインドに至るまで征服しました。
俺はお前を神だなんて認めねぇぜ!
中にはディオニューソスの神性を認めない人々もいましたが、そんな人たちをディオニューソスは狂わせたり、動物に変えたりしたので、神として畏れられるようになっていきました。
放浪エピソードその①
アテナイという古代ギリシャにある有名な都市の近くにイーカリアーという村がありました。
そのイーカリアーにディオニューソスがやって来た時のお話です。
ディオニューソスは農夫であるイーカリオスのもてなしをうけました。
本当にありがとうございました!あなたはとっても良い人だ。お返しにブドウの栽培とワインの作り方を教えましょう
ありがとうございます!
こうしてディオニュソースはイーカリオスにワインの製造方法を伝授しました。
出来上がったワインをイーカリオスはさっそく村人たちに振る舞いました。
どうぞ私が作ったワインという飲み物です。皆さんぜひ飲んでみて下さい!
こうして村人たちは人生で初めてワインを口にしました。
なんだこれは。初めて飲んだぞ
しかし、生まれて初めてお酒というものを口にした村人は酔いというものが理解できませんでした。
ん?なんだか意識がふわふわするぞ。まさかイーカリオス、お前毒をもったな!
村人たちの誤解は怒りへと変わり、そのままイーカリオスは殺されてしまいました。
お父さん!
イーカリオスの死体を見た彼の娘はその場で首を吊りました。
事の次第を知ったディオニュソースは大激怒。
なんということをしてくれたんだ!これで反省しろ!
ディオニュソースは村の娘全員を狂わせ、首をくくって死なせました。
やがて誤解を知った村人たちにより、イーカリオスとその娘は供養されました。
分かればよろしい
そうするとディオニュソースの怒りもおさまり、その地はブドウの産地として知られるようになるのです。
放浪エピソードその②
テーバイという街の王であるペンテウスは神々に対して不敬でした。
しかしディオニュソースがテーバイに現れると、町中の女性たちを狂気に陥らせてディオニュソースと一緒に山中に消えていきました。
最近、この街の女たちが山に消えるというが、どうやらディオニュソースというやつを信仰しているらしい。しかし、そんな信仰は禁止だ!ディオニュソースを捕まえてこい!
こうしてディオニュソースはペンテウスの前にやって来ることになりました。
お前が町中の女を連れて山に向かっているというやつか。お前は一体山で何をしているんだ
儀式をしています
儀式?
はい。よろしければ王様もご覧になりませんか?
ペンテウスはディオニュソースが行っている儀式はきっと淫らでいかがわしいものであるに違いないと思いました。
そして、その儀式を見てみたいとも思ってしまったのです。
ふむ…。確かに一度見てみる必要があるかもしれんな
こうしてペンテウスは山に向かうことになりました。
そしていざ儀式を盗み見ようとしたその瞬間です。
今です。皆、かかれ!
ディオニュソースの指示により一斉に飛び出した女性たちによってペンテウスは八つ裂きにされてしまいます。
は、母上…
その集団の中にはペンテウスの母であるアガウエーすらいたとのことでした。
放浪エピソードその③
ディオニュソースは放浪中に海賊に捕らえられたこともありました。
なんだこいつ。身なりがやけに綺麗じゃないか。きっとこいつは高貴な生まれの貴公子だぜ
海賊たちがディオニュソースを貴公子だと勘違いしたため、そのまま船上に捕らえられ、縄で縛られました。
しかし、そこで不思議なことが起きます。
あれ?なんでだ?縄がきつく結べねぇ
海賊たちがディオニュソースを縄で縛ろうとしても自然と緩くなってしまい、何度試しても上手くいかないのです。
この人はただの人間ではないのかもしれない。もしかして…神?
海賊の中で唯一ディオニュソースの神性に気が付いたへカトールは、ディオニュソースを助け出そうと思いました。
しかし、もうすでに海賊船にはワインが満ち、ブドウのツタが絡みついているような状態でした。
さらに、ディオニュソースは獅子に変身し、船の中央には熊を召喚しました。
なんだこいつ、バケモンだ!
あまりの光景に度肝を抜かした海賊たちは海に飛び込みました。
そして、海に飛び込んだ海賊をディオニュソースはイルカへと変えました。
ただし、ディオニュソースを助け出そうとしたへカトールだけは助かり、彼はその後ディオニュソースの熱心な信者となったのです。
このような布教活動の功績が認められて、ディオニュソースはオリュンポスの神々の仲間入りを果たしたのです。
ギリシャ神話を実は漫画で分かり易く読むことが出来ます!
あのオリエンタルラジオのあっちゃんこと「中田敦彦のYouTube大学」でも紹介された漫画です。
ギリシャ神話をイラストと共にざっと理解されたい方は、
こちらの漫画もぜひ読んでみて下さい。
参考:『ディオニューソス』
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