ローマ王国の建国の父ロームルス(ロムルス)はどのような生涯だったのでしょうか?
双子の弟であるレムスと共に狼に育てられたことがあるという驚きのその生涯をご紹介します!
双子の男の子が生まれる
ロームルスとレムスの母親は巫女でした。
レア・シルウィアという名前で、アルバ・ロンガという国の王であるアムーリウスの兄であるヌミトルの娘でした。
このヌミトルは後々かなり重要人物になるので覚えておいてくださいね!
彼の娘であるシルウィアは巫女(処女)の身でありながら妊娠しました。
気になる父親ですが、軍神マルスと言われたりしています。
そして、彼女は双子の男の子を出産したのです。
しかし、王であるアムーリウスは一つの命令を出します。
今すぐこの双子を捨てなさい
こうして二人の子どもは川に流されました。
そして、すぐに人里離れた陸地に漂着したのです。
狼に育てられた子どもたち
漂着した二人に山からやって来たメスの狼が近付いてきました。
そして、なんと子ども達に自分のお乳を与えたのです。
さらに、キツツキは双子に食料を持ってきました。
しかし、王室の羊飼いであるファウストゥルスが近付くと狼は立ち去っていきました。
ファウストゥルスは双子を家に持ち帰り、妻に双子を育てさせました。
この時、実はファウストゥルスは双子が王宮から捨てられた子であると知っていたという逸話もあります。
そして、この双子に名前が与えられました。
よし、君たちの名前はロームルスとレムスだ
こうしてただの双子だった男子はロームルスとレムスという名で、両親の元で健康に育ち、やがて若者の遊牧民としての仲間入りをするようになりました。
おっしゃ、お前ら、今日もド派手にやってやろうぜ!
ロームルス達は狩りをしたり、時には盗賊を襲ったりしました。
特にロームルスは政治的素質を持っており、徐々に若者の集団の規模を大きくしていき、周辺の人々の間でその名が知れ渡っていくまでになっていったのです。
出生の秘密
ロームルスとレムスが18歳になった頃、ロームレスとレムスの一派とヌミトル(双子の祖父に当たります)の配下の一派とが土地を巡っての勢力争いが起こりました。
とりあえずは、ロームルスらの一派が勝ちましたが多くの犠牲者が出ました。
あいつらの犠牲式はやってやらねぇとな
ロームルスが犠牲式に出かけていた時に、ヌミトルの配下が待ち伏せをして、レムスを捕まえてしまいました。
あいつが捕まったって!?すぐに助けに行くぞ!!
ロームルスはレムスが捕まったと聞くと、すぐに救出に向かおうとします。
ちょっと待つんだ、ロームルス
そこに待ったをかけたのがファウストゥルスです。
実はレムスを捕まえた組織の親玉のヌミトルはお前たちの祖父だ
ど、どういうことだよ!?
ファウストゥルスは二人の出生の秘密を話しました。
お前たちはヌミトルの兄で現在の王であるアムーリウスが命令して、川に捨てられた子だ。森にいたお前たちを私が拾った
アムーリウスの命令…だと…。ふ、ふざけんじゃねぇ!なんだよ、それ!俺がぶっ潰してやるよ!
こうしてロームルスはアムーリウスを倒すことを決意したのでした。
祖父と孫の初対面
一方、ヌミトルの家に連行されたレムスは祖父であるヌミトルと初めて対面しました。
ヌミトルはレムスを見て、こう思いました。
なんだこの青年は。わしに見た目や体格がそっくりじゃないか
そして、二人は話し始めたのです。
そなた、親は誰じゃ?
産みの親はいません。私は捨て子です
このレムスの言葉を聞いて、ヌミトルは目の前にいる青年が自分の孫であることを確信しました。
そして、真実をレムスに話し、彼を無罪放免にしました。
そして、ヌミトルとレムスは一団を率いて王宮に向かい、アムーリウス王を殺害したのです。
一方、ロームルスは市外からアムーリウス王に反対する市民を集めて百人隊を構成し、城を攻めていました。
結果、ヌミトルは王位に返り咲き、二人の母親であるシルウィアは牢獄から解放されることになりました。
兄弟の争い
ヌミトルがアルバ・ロンガの王となったので、二人は自分たちが生まれ育った故郷に新しい都市を建てることを思い付きました。
ここで作業の効率化のためにロームルス派とレムス派の二つのグループに分かれて建設を行ったのですが、これが上手くいかない。
結果、ロームルスとレムスが対立することになってしまったのです。
- ロームレス:パラティーノの丘
- レムス:アヴェンティーノの丘
を支配することは決まったのですが、新しい都市の名前を何にするかなどで争い、収拾がつかなくなってしまいました。
そこで、二人はヌミトルに相談することにしました。
では、鳥占いをしたらいいだろう。最初により良い鳥が飛んできた方が王になる。これで決まりじゃ
こうして、ロームルスはパラティーノの丘に上り、レムスはアヴェンティーノの丘に上って鳥が飛んでくるのを待ちました。
結果は、まずレムスのもとに6羽のハゲタカがやって来て、そのすぐ後にロームルスのもとに12羽のハゲタカがやってきたのです。
王様はレムス様に決まりだよな、だって最初にハゲタカがやって来たのはレムス様のところだぜ
はぁ!?馬鹿言ってんじゃねぇよ!ロームルス様に決まってんだろ!何てったって、数が倍も違うんだぜ。王に相応しいのはどう考えたってロームルス様だろうが
結局、ロームルスの支持者とレムスの支持者が戦闘を始めてしまい、この戦闘中にレムスとファウストゥルスが戦死してしまいました。
ロームルスは二人をアヴェンティーノの丘に葬りました。
こうしてロームルスは王となりローマを首都にした国を建国したのです。
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参考:『ローマの建国神話』
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