テーセウス(テセウス)はギリシャ神話に登場する英雄であり、アテーナイの王でした。
ギリシャ神話では勇ましい冒険のお話で知られており、へーラクレースほどではありませんが、テーセウスも大岩を持ち上げるほどの怪力を誇っていたようです。
ちなみに、ギリシャ神話の絶対的英雄へーラクレースについては、
ヘラクレスは実在した?英雄が行った12の功業の内容とは?
どうぞこちらの記事をご覧ください。
ここではミーノータウロス(ミノタウロス)退治のお話を中心にしながら、テーセウスについてご紹介していきたいと思います!
ミーノータウロス退治
テーセウスの物語の中で最も有名なものがミーノータウロスを退治したお話です。
そもそもミーノータウロスって何?
という方はどうぞこちらからご覧ください。
ミノタウロスとは?ギリシャ神話での誕生秘話を簡単に解説!
身体は人間、頭は牛のミノタウロス(ミノーターウロス)はどのようにして産まれたのか?ギリシャ神話に登場する怪物ミノタウロス。人間から生まれたこの怪物の誕生には驚くべき物語があった!ミノタウロスの誕生秘話を小説風に解説!
それでは、牛頭の怪物ミーノータウロスがなぜテーセウスに退治されることになったのかをストーリーにしてご紹介していきます!
テーセウス、激怒する
むかしむかし、アテーナイにあるクレータ島という島はミーノース王が統治していました。
しかし、そのクレータ島には恐ろしい風習がありました。
毎年、7人の若い男と7人の若い女を怪物ミーノータウロスの生贄に捧げるのだ
という王様の命令です。
なんだそのふざけた話は!
初めてこの話を聞いたテーセウスは激しい怒りを感じました。
俺がミーノータウロスを倒してやる!
こうしてテーセウスはミーノータウロスを倒すために、わざと生贄に自ら立候補したのです。
テーセウスの父親あり王でもあるアイゲウスはもちろん反対しました。
何を馬鹿なことを言っているんだ!テーセウス、止めるんだ!
いや、止めてくれるな親父。俺は行く。もう、決めたんだ
こうしてテーセウスは周囲の反対を振り切って、クレーター島に行くことを決めたのでした。
分かった。もう、お前を止めることは出来ない。ならばせめてテーセウス、約束してくれ!お前がもし万が一生きて帰ってくる時はこの黒い帆を白くして帰って来てくれ。もしこの帆が黒いまま戻ってきたら、俺はお前はもう死んでしまったとすぐに分かるように
分かった。約束するよ
こうして、テーセウスは黒い帆を掲げた船に乗ってクレーター島に向かうのでした。
ラビュリントス
さぁ、着いたぞ!ミーノータウロスはどこにいる!?
テーセウスが鼻息を荒く、クレータ島にたどり着きますが、ミーノータウロスの姿が見えません。
それもそのはず、ミーノータウロスは危険な怪物なため、人間の前に出てこれないようにラビュリントスと言われる脱出不可能な迷宮に幽閉されていたのです。
今でいう超巨大迷路みたいなものでしょうか。
生贄たちも一度入るとそのラビュリントスから脱出が出来ないため、その中でミーノータウロスに襲われ、生贄となるのでした。
ここでテーセウスは考え込んでしまいます。
おい待てよ。俺がラビュリントスの中に入ってミーノータウロスを倒したとして、どうやって出たらいいんだ?
そんなテーセウスに一人の女性が近付いてきたのでした。
アリアドネーの登場
お困りのようですね
テーセウスに声をかけたのはこのクレータ島の王であるミーノース王の娘、アリアドネーでした。
実はアリアドネーは生贄としてやって来たテーセウスに密かに一目惚れをしていたのです。
いやですね。私はミーノータウロスを倒しにここに来たのですが、ミーノータウロスがラビュリントスに入っていると聞いて、もし私が仮にやつを倒せたとしても、そもそも私自身がラビュリントスから出ることが出来ないのではないかと考えていまして…
そうだったんですね
テーセウスの言葉を聞いたアリアドネーはテーセウスに二つの物を授けました。
では、どうぞこれをお持ちになってください
これは…糸ですか。そしてこちらは短剣ですね
この糸をラビュリントスの入り口にくくりつけてください。そして糸をひいていきながらラビュリントスの中を歩けば最終的には帰ってこれます。そしてこの短剣はミーノータウロスとの戦いで使ってください
なるほど!その手がありましたか!ありがとうございます!ぜひ使わせていただきます
こうしてテーセウスはアリアドネーの助言によってラビュリントスの攻略方法を見つけ出したのです。
テーセウス、ミーノータウロスと戦う
いよいよ生贄たちがラビュリントスの中に入れられる日がやってきました。
テーセウスはアリアドネーからもらった糸をラビュリントスの入り口にくくりつけ、他の生贄たちと共に迷宮の奥へと進んでいきました。
お前たちが生贄か!
そして、ついにミーノータウロスが現れたのです。
ぎゃー、怪物だー!
ミーノータウロスの姿に生贄たちは恐れ震えている中、テーセウスは果敢にミーノータウロスへと立ち向かっていきました。
おのれ怪物、俺と勝負だ!
なんだお前は!?
テーセウスはミーノータウロスの怪力をものともせず、アリアドネーからもらった短剣で見事にミーノータウロスを打ち果たしたのでした。
やったぞ!遂に勝ったぞ!
こうしてテーセウスと生贄たちは糸を逆に辿って無事にラビュリントスの外へと脱出することも出来ました。
テーセウス、帰還する
見事ミーノータウロスを打倒したテーセウスですが、ミーノータウロスがミーノース王の妃であるパーシパエーと雄牛との間に出来た子どもだったということもあったのか、賞賛されることはありませんでした。
それどころか、テーセウスはミーノース王から追われるようになってしまったのです。
急いでこの島から出なくては!
ミーノータウロスを倒したテーセウスはすぐに船に乗り、そのままクレータ島から出航しました。
それからテーセウスは様々な冒険に巻き込まれましたが、なんとか無事に故郷であるアテーナイに帰ることが出来ました。
しかし、そこで彼は最大のミスを犯しました。
分かった。もう、お前を止めることは出来ない。ならばせめてテーセウス、約束してくれ!お前がもし万が一生きて帰ってくる時はこの黒い帆を白くして帰って来てくれ。もしこの帆が黒いまま戻ってきたら、俺はお前はもう死んでしまったとすぐに分かるように
彼がミーノータウロス退治に出る時に、王であり父でもあるアイゲウスと交わした約束です。
これをテーセウスはすっかり忘れてしまっていたのです。
そして、彼は出航時の黒い帆のまま帰還してしまいました。
テーセウスの船が帰ったじゃと!帆は!?帆の色はどうじゃ!?白か!?…黒…じゃと…
黒い帆を見たアイゲウスはテーセウスがミーノータウロスに殺されたと勘違いし、絶望のあまりに海にそのまま身を投げて死んでしまいました。
そしてアイゲウスが身を投げた海を彼の名前にちなんでエーゲ海と呼ばれるようになったと言われています。
その他のテーセウスについて
テーセウスについての伝説はまだ他にもあります。
プルタルコスという人物が書いた『英雄伝』では古代ローマの建国の父ロームルスと共に、アテーナイを建国した偉大な人物として同じ書物の中で紹介されています。
ロームレスについては別の記事もございますので、
ローマ建国伝説!狼に育てられた兄弟ロムルスとレムスの物語
古代ローマを建国した双子のロムルスとレムス兄弟は狼に育てられたって本当?双子の兄弟喧嘩を経て、どちらが王となったのか?ローマ建国の歴史はどうやって成り立った?小説風なストーリーで分かり易く解説!
よろしければそちらもご覧ください。
また、テーセウスにはマラトンとの戦いでアテーナイ軍の戦闘に立ってペルシア軍に突っ込み、アテーナイ軍の士気を大いに高めたという伝説も残っています。
マラトンの戦いについて詳しく知りたい方は、
マラトンの戦いはどこ対どこ?戦争の背景を分かり易く解説!
絶体絶命であったマラトンの戦いで、ギリシア軍はどのようにして強敵ペルシア軍に勝利したのでしょうか?古代の戦争で有名なものと言えばペルシア戦争です。その戦争の一部であったマラトンの戦いについて分かり易く解説してみました!
どうぞこちらの記事をお読み下さい。
ギリシャ神話を実は漫画で分かり易く読むことが出来ます!
あのオリエンタルラジオのあっちゃんこと「中田敦彦のYouTube大学」でも紹介された漫画です。
ギリシャ神話をイラストと共にざっと理解されたい方は、
こちらの漫画もぜひ読んでみて下さい。
参考:『テーセウス』
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