シャハーダ(信仰告白)とは?イスラム教徒になる方法を解説

アラビア語(シャハーダ)の画像

イスラム教徒になるためには、まずこのシャハーダ(信仰告白)を行わなければなりませんが、

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そもそもシャハーダって何?

という方も多いでしょう。

ここでは、シャハーダを行うにあたって理解しておかなければならない知識や心構えについて詳しく書いています。

シャハーダ(信仰告白)とは?

シャハーダ(信仰告白)とは、イスラム教の5行の1つで、

لَا إِلٰهَ إِلَّا ٱلله مُحَمَّدٌ رَسُولُ ٱلله

とアラビア語で唱えます。

イスラム教では、アッラー(神)によって信仰の強制を禁じられています。

神様画像

宗教には強制があってはならない。正しい道から迷い誤ることはない。邪神を退けて我を信仰する者は、決して壊れることのないしっかりとした取っ手を握った者である

このアッラーの言葉により、シャハーダも強制的に言わされるのではなく、自分の意志で行わなければなりません。

シャハーダの読み方や発音

多くの方はアラビア語が読めないと思うので、日本語読みと意味を付け加えますと、

アシュハドゥ・アッラー・イラーハ・イッラッラー・ワ・アシュハドゥ・アンナ・ムハンマド・ラスールッラー

(私はアッラーの他に真に崇拝すべきものはなく、ムハンマドはそのしもべであり使徒であることを証言する)

となります。

こちらの動画では、英語でシャハーダ(信仰告白)の発音を丁寧に教えてくれています。

シャハーダをする時、このアラビア語を実際に言わなければなりませんが、発音はあまり気にされません。

イマーム(宗教指導者)がゆっくりと言ってくれるので、それを真似すればアラビア語が分からなくてもシャハーダをする事が出来ます。

シャハーダの2つの意味とは?

シャハーダは、

アッラーの他に真に崇拝すべきものはなし

という部分と、

ムハンマドはアッラーのしもべであり使徒である

という前後ふたつの部分から成り立っています。

最初のシャハーダに関してのイスラムの法学的解釈では、「アッラー(神)の他に真に崇拝すべきものはなし」の部分は、ユダヤ教キリスト教なども含めた唯一神を信仰することを宣言しています。

ちなみに、日本人ムスリム(イスラム教徒のことを言う)の中田考による説明では、

この文は、神は時間や空間上のどこにも存在しないということを前提とした上で、唯一神のアッラーだけに関しては例外である。

となっています。

二つ目のシャハーダである「ムハンマドはアッラー(神)のしもべであり使徒である」の部分は、預言者ムハンマドアッラーへの信仰を確立するために、

人々画像

アラブ諸部族、ひいては人類全体に派遣された最後の預言者にして使徒である

ということを表明しています。

ユダヤ教徒やキリスト教徒になる事とは違い、特にこの2つ目のシャハーダによって、ムスリムであることを強調して宣言する意味があります。

両者を併せて宣言することによって、アッラーのみを信仰する唯一神教のムスリムであることを明確にするのです。

「神の唯一性」についての意味

まず、ムスリム(イスラム教徒)が証言する1つ目の意味、

ラー・イラーハ・イッラッラー

(アッラーの他に真に崇拝すべきものはなし)

はとても重要な意味が含まれています。

その意味をより深く理解するために、単語ごとに見ていきましょう。

アラビア語から見る意味

まず、初めの「ラー」はアラビア語で否定となります。

なので、それに続く言葉を否定します。

次の「イラーハ」は前の「ラー」によって否定されている言葉です。

これは「崇拝されるもの」と言う意味があり、次のような意味を含んでいます。

  • 心から愛されるもの
  • 怖れられるもの
  • 助けを請い求められるもの
  • その命令と禁止に服従されるもの

つまり、「イラーハ」とは愛と怖れと望みを持って崇拝・服従される対象です。

「ラー・イラーハ」とは、「イラーはない」という意味です。

つまり、この地上のありとあらゆる崇拝を完全に否定していることになります。

そして、次の 「イッラー」という言葉ですが、これは「・・・以外に」という意味であり、次に来る「ッラー(アッラー)」を除外します。

つまり、ここでは 「アッラー以外に」という意味であり、この地上で崇拝 ・服従されるべき対象は アッラーだけであることを強調しています。

「イラ—」となり得るもの

 預言者ムハンマドは、多神教徒たちに苦しめられていた歴史があります。

だからか、ムスリムたちにとっての聖書であるクルアーン(コーランとも言う)では多神崇拝を完全否定し、毛嫌いする傾向があります。

また、多神崇拝は多神教の崇拝だけに限りません。

例えば、エゴイズムという自分自身に対する崇拝は、 「自我」を 「イラー」とした人と言えます。

クルアーンにも、自我をイラ—とした例があります。

権力者であったフィルアウンは、

権力者の画像

長老たちよ。わたし以外に、あなたがたに神があるはずがない。そしてハーマーンよ、泥(を焼いた煉瓦)で わたしのために高殿を築け。そしてムーサー(モーセ)の神のもとに登って行こう。わたしには、どうも彼は虚言の徒であると思われる

と言いました。

ここで虚言の徒と言われている預言者モーセについてさらに詳しく知りたい方は、

こちらの記事をお読み下さい。

また、人間の自我や欲望のほかに、

  • ある特定の物質には特別な力が宿り奇跡を起こすと信じる
  • 特定の日時に厳かな儀式を行ったりする

そういった事も「イラ―」と見なされます。

なぜなら、偽りの「イラー」から

人々画像

加護と救いが与えられる…!

と考えているからです。

クルアーンでは、多神教や他のものを「イラ―」としている人達に対して、

見なさい。アッラーを差し置いて、神々に祈っている者たちは何に従うのか。かれらは妄想に従っているだけ。自分勝手に過ぎない。アッラーにこそ名声があるが、彼をないがしろにするような輩は放っておくがよい。いずれ彼らは自分たちが行っていたところのもので報いを受けるだろうから。

(ユーヌス章第10章66節 / 高壁章第7章180節)

と述べています。

アッラーが全存在の創造主

アッラーとは一体何者なのでしょうか?

クルアーンからアッラーについて見てみると、

神様画像

我はジン(精霊的存在)と人間を、我を崇拝させるべくして創造したのだ。あなた以前に我らが遣わした使徒の内で、我の他に神はなく我を崇拝するよう啓示を与えなかった者はいなかった

これはどういう事かと言うと、アダムから最後の預言者ムハンマドに至るまでの全ての預言者と使徒たちがアッラーを人々に伝えて来たことを意味します。

また、シャハーダの証言の最初の部分には、「アッラーが全ての存在の創造主である」という意味を含みます。

その証拠にクルアーンでは、

本当にあなたがたの主はアッラーであられる。彼は6日で天と地を創り、昼の上に夜を覆わせ、夜に昼を慌ただしく受け継がせ、また太陽、月、群星を従わせる。ああ、彼こそが創造し統御される御方ではないか。

(高壁章第7章54節)

と述べられています。

「ムハンマド」についての意味

ムスリム(イスラム教徒)が証言する2つ目の意味、

ムハンマド・ラスールッラー

(ムハンマドがアッラーの使徒であり、ムハンマド自体が神にはなり得ない)

これには、「彼が最良かつ最後の使徒であり、彼以後には預言者も使徒も出現しない」ことを信じることも含まれます。

預言者という存在への認識

預言者ムハンマドが生きていた時代にクライシュ族という民族がいました。

彼らは先祖の教えであるアーダム(アダム)とイブラーヒーム(アブラハム)の教えからアッラーの存在を知っていました。

そして、日常の中でもアッラーという言葉はよく使われていたのです。

アッラーの存在を認める以外にも、アッラーによって遣わされた使徒たちの存在も同時に認めなければいけません。

そうでなければ、アッラーを正しく信仰したことにはなりません。

アッラーの使徒ムハンマド

アッラーはこう言いました。

神様画像

我の唯一性を証言せよ。われが使徒を遣わしたのは、我の許しの下で服従させるためである

そして、ムハンマドという人間をその模範として遣わされたのです。

アッラーの使徒であるムハンマドも一人の人間です。

ここが、キリスト教徒とは決定的に違います。

イエス・キリストは神の子とされていますが、イスラム教ではイエスも使徒の内の一人としています。

ムハンマドも他の預言者たちと同様に、アッラーの啓示をみんなに伝えているだけです。

クルアーンでアッラーは、

神様画像

彼は私欲から物事を話しているわけでもない。それは下された啓示以外の何ものでもない

と語っています。

使徒ムハンマドの重要性

ムハンマドアッラーの使徒であることを信じ、預言者ムハンマドによって伝えられた啓示の真実性を認めることが大切です。

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全ての命令に服従し、禁じられたことを避け、使徒が命じた物事を行い、彼の禁じた物事を避けよ

とアッラーは述べています。

使徒ムハンマドの行なった方法によってのみ信仰行為を行ない、彼に対してムスリムは尊敬や擁護を含め愛し、彼を愛する者もまた愛します。

ムハンマド画像

あなた方がアッラーのことを愛しているのなら、私に従うのだ。そうすればアッラーはあなた方を愛して下さり、あなた方の罪をお赦し下さるであろう。

とムハンマド自身も言っています。

イスラム教徒になるための条件

シャハーダ(信仰告白)をすれば、いとも簡単にムスリムになれます。

ですが、この2つのシャハーダを心の底から信仰し、その行為も求められます。

ムスリムは中道を行き、正しい知識に基づいた信仰を持つことが求められます。

なので、ムスリムたちにとっての聖書であるクルアーンハディース(預言者ムハンマドの言行の伝承)をよく学ぶ必要があります。

また、正しい方法でサラート(礼拝)サウム(断食)などの信仰行為を実践することも大切です。

ムスリムの前で、多くの場合は礼拝堂であるモスク(マスジドとも言う)においてイマーム(宗教指導者)の前で、このシャハーダをアラビア語で唱えます。

これがムスリムとなる最低条件です。

さらに、クルアーンと預言者ムハンマドの言行(スンナ)を法源とする法律である「シャリーア」によると、

最低でも敬虔かつ公正な男性イスラム教徒2名を証人として立ち会いの下、シャハーダをアラビア語で唱えさえすれば、その瞬間からムスリムとして認められ、イスラム共同体の中に迎えられる。

とより具体的に書かれています。

シャハーダ(信仰告白)には先ほども述べたような2つの証言が含まれます。

この証言はただ単に声に出すだけでは、アッラーに受け入れてもらえません。

それでは、2つの証言を有効にするための基本的な条件とは何なのでしょうか?

今から説明する条件を受け止められるのであれば、ムスリムになるのに何ら問題はありません。

正しい知識を理解する

イスラム教徒になった後のサラート(礼拝)やあらゆる種類の崇拝行為は、全てアッラーのみに向けられなければなりません。

もしシャハーダをしてイスラム教徒になったとしても、崇拝行為がアッラー以外の何かに向けられているならば、それは一種の不信仰となります。

たとえ証言の言葉を口にしていたとしても関係ありません。

アッラーを差し置いて崇拝されているあらゆる存在が、嘘偽りであると知ることが大切です。

預言者や使徒、天使などであろうと、アッラー以外に崇められるべき存在はありません。

2つの証言を確信する

先ほど説明した2つの証言の意味を心から確信する必要があります。

この信仰において疑いやためらいなどがあってはいけません。

クルアーンアッラーは、

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真の信仰者というものはアッラーとその使徒を信仰し、その信仰にその後も疑念を抱くことなく、財と生命をかけてアッラーの道に奮闘する者たちのことである

と述べました。

証言の完全な受け入れ

証言の内容を完全に受け入れ、それを拒む気持ちがあるべきではありません。

ムスリムになるには、証言の意味を理解して確信をもって信仰するだけでは不十分です。

厳密にはそれを発声して受容し、ムスリムとなることを受け入れる必要があります。

アッラーに対する服従

アッラーへの服従とは、証言の内容の求めることに従い、それに沿って行動することです。

発声して受容し、イスラム教徒となることを受け入れるだけでは不十分で、さらにそれに従った行動をする必要があります。

そして、アッラーが命じることを行い、彼が禁じることを回避しなければなりません。

クルアーンでアッラーは、

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誰でも善行に励み、真心を尽くして我に傾倒する者は堅固な取っ手を握り締めた者。そして、全ての物事の結末は我へと還り行く

と述べています。

証言に真摯であること

証言を口にする時に、その言葉は真摯でなければなりません。

上記の全ての条件を満たしていたとしても、心の内に不信仰を潜めていたら、まるで偽善者のような状態となってしまいます。

崇拝に対しての誠実さ

全ての崇拝行為を、アッラーのみに誠実に捧げます。

例えば、死人に向かって何らかの願いを叶えてもらおうと祈ったりすることは、崇拝行為をアッラー以外の何かに向けていることになります。

そういった祈りは、純粋なアッラーの崇拝を行っていることにはなりません。

アッラーと使徒を愛する

シャハーダ(信仰告白)をした人達は、

  • アッラー
  • その使徒であるムハンマド
  • そのしもべたち

を愛して彼らに敵対する者には敵対する必要があります。

また、例えそれが自分の私欲と一致しないことであっても、アッラーとその使徒への愛情を何よりも優先することが求められます。

クルアーンでアッラーは、

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あなた方の父親や子息、兄弟姉妹や配偶者、近親やあなた方の稼いだ財産、またあなた方が不景気になることを恐れている商売や、あなた方の意に適った住まいが我とその使徒、そしてその道における奮闘よりもあなた方にとって愛すべきものであるのならば、我が事を決行されるまで待つがよい。我は思うままに振る舞う民を導かないのだ

と述べています。

また、この証言はアッラーのみが法を定める権限を持っていることを認めることにも繋がります。

これは崇拝行為や個人あるいは社会間における人間関係であろうと、そこに違いはありません。


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気になる方は、こちらの本もぜひ読んでみて下さい。


参考:『シャハーダ 』・『イスラーム アキーダとイバーダ』・『イスラームのメッセージ

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