『ヨナ書』はヘブライ語聖書の古代のテキストであり、神の性質についての時代を超越したメッセージを含んでいます。
ニネベの町に行き、人々に彼らの邪悪さについて説教するように神から指示されたヨナという名前の預言者の物語です。
ヨナは最初はこれをするのをためらっていましたが、最終的には従い、人々から悔い改めと許しを受けました。
この物語を通して、ヨナ書は神の性質とその憐れみの力について、いくつかの重要な教訓を教えてくれます。
この本の主なテーマを深く掘り下げることで、なぜヨナ書がそれほど重要なのかをよりよく理解できるようになりますよ!
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『ヨナ書』とは?
『ヨナ書』は、旧約聖書の中の一つで、ユダヤ教とキリスト教で以下のように分類されます。
- ユダヤ教:後の預言者
- キリスト教:預言書
内容は預言者のヨナと神のやりとりが中心となっています。
その中で、ヨナが大きな魚に飲まれる話が有名です。
著者は分かっておりません。
旧約聖書の中で特徴的なポイントとして、
イスラエルの民の選民思想・特権意識を否定
といった点が挙げられます。
これは当時のユダヤ人にとっては驚くべき内容でした。
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ヨナ書の内容
構成は、大きく分けて2部に分かれています。
- 前半(1~2章):ヨナ自身の悔い改めの物語
- 後半(3~4章):ヨナの宣教によってニネベの人々が悔い改めた物語と後日談
ヨナ書の主人公ヨナは、預言者としてイスラエルの領土が回復することを預言しています。
そのすぐ後に、実際にイスラエルは失地を回復しているのです。
いつ書かれた?
『ヨナ書』の書かれた正確な年代は分かっておりません。
預言者ヨナが実際に活動した紀元前8世紀前半
というのが伝統的な考え方です。
遅くても紀元前612年のニネヴェ陥落(アッシリア滅亡)の前である事は間違いありません。
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ヨナ書のあらすじ
ヨナはある日、イスラエルの敵国であるアッシリアの首都ニネヴェに行きました。
(ニネヴェの人々が犯す悪のために)40日後に滅ぼされる
と突然に神からこのような預言を伝えるよう命令されたのです。
しかし、ヨナは敵国アッシリアに行くのが嫌で、船に乗って反対方向に逃げ出したのです。
このため、神は船を嵐に遭遇させました。
船乗りたちは誰の責任で嵐が起こったかくじを引き、そのくじはヨナに当たりました。
じ、実は天地創造の神である主を畏れているんじゃ…
とヨナは問い詰めて来た船乗りたちに告白しました。
自分を海に投げればきっと嵐はおさまるはずじゃ
とヨナは船乗りたちにそう提案しました。
船乗りたちも最初の内は陸にたどり着こうと努力しましたが、結局はヨナの言う通り彼を海に放り投げました。
ヨナは神が用意した大きな魚に飲み込まれ3日3晩魚の腹の中にいましたが、神の命令によって海岸に吐き出されました。
ニネヴェにいって神(主)の言葉を告げるよ
とヨナは悔い改めて実行したら、意外なことに人々はすぐに悔い改めたのです。
ほぅ、悔い改め断食までするか
と神はニネヴェの人々の行動に感心し、破壊活動を考え直して最終的には中止したのです。
しかし、このニネヴェの人々に対する神の寛大な処置にヨナは怒ります。
ニネヴェは今後どうなっていくんじゃろう?
と気になったヨナは小さな家を建て住んでいると、その横にひょうたんが生えました。
ひょうたんの影が日よけになって良いのぅ~♪
と喜んでいたヨナでしたが、神はそこに虫を送ってひょうたんを枯らしてしまうのです。
怒りのあまり死にそうじゃよ…!
と激怒したヨナが神に訴えると、
お前がたった1本のひょうたんを惜しんだのだから、12万人以上の人間と無数の家畜がいるニネヴェを惜しまないことがあろうか?
と神はそう言ってヨナを諭したのでした。
ヨナ書のその後
神の慈悲がイスラエルの民(ユダヤ人)だけでなく、他の国の人々(異邦人)に及ぶ事をヨナ書では示しています。
逆に言えば、異邦人の方が神の意思に従っており、ヨナに代表されるユダヤ人の方が神の意思を理解できていないとも言えます。
この考え方はその後のキリスト教のパウロに引き継がれ、
神の意思はユダヤ人には受け入れられず、むしろ異邦人に受け入れられる
という認識になってキリスト教は広まりました。
イエスはしるしを求める人にむかってこう言いました。
「ヨナのしるし」のほかには何のしるしも与えられない
キリスト教では伝統的に、
- ヨナが魚の腹にいた3日3晩
- イエスが死んでから復活するまでの3日間
をそれぞれ対応するものとして考えています。
なので、ヨナの体験を自らの死と復活の予型としてイエスが語っていると理解しているのです。
ちなみに、同じ話がイスラム教の『クルアーン(コーラン)』にも見られ、ヨナは預言者の1人ユーヌスという名前になっています。
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