ヒンドゥー教には、信者が導きや恩恵を求めて祈る神々が数多く存在します。
その中でも、シヴァ神は最も人気のある神でしょう。
シヴァ神の崇拝者は様々な立場の人から来ており、特定の層が他の人よりもシヴァ神を好むというわけではありません。
ヒンドゥー教徒がいる場所であればインドや世界の他の地域でも、シヴァ神とその様々なアヴァター(化身)を祀る(まつる)寺院が必ずあると信じられています。
この記事では、インドで最も愛されている神のシヴァの特徴や性格をざっくり見ていきます。
シヴァ神とは?
シヴァ神は、パラメーシュヴァラ(至高の王)としても知られ、ヒンドゥー教の最も影響力を持つ3柱の主神の1人であり、最高神と位置付けられています。
シヴァ神はすべてを終わらせ、この世からすべての不純物と悪を取り除く存在です。
また、ヨガの神でもあり世界の終わりまでヒマラヤの地下で瞑想していると言われています。
シヴァ神が最高神として司るものは以下です。
- 世界を創造し、世界を維持する
- 世界を破壊する
- 世界を終わらせ、再創造させる
また、アディヨーギー・シヴァ(第一の修行者)とも呼ばれ、ヨガや瞑想、芸術の守護神でもあります。
シヴァは蛇を身に着け、体に灰を塗っています。
偶像上の特徴は以下になります。
- 額の第三の目(開くと目の前の物をすべて灰にする)
- 首に巻かれた蛇
- 三日月の装飾具
- 絡まる髪の毛から流れる聖なるガンジス川
- 武器である三叉(さんさそう)の槍(トリシューラ)
- 太鼓(ダマル)
シヴァ神誕生の伝説
シヴァ神は「踊りの神」としても知られています。
そして、「三界の主」のブラフマーと「三界の破壊者」のシャクティという二神が合体して生まれた神です。
両神が誤って魔法の毒を飲んでしまい、一体化しそれぞれのアイデンティティを失ってしまったことから起こりました。
その結果、新たに誕生したのが「舞踏の神」シヴァです。
2人の神の子として生まれたシヴァは、さまざまな力を持つようになりました。
しかし、彼が最初に行ったことは誤って魔法の毒を飲んでしまった神を殺すことでした。
生まれるのを待ちすぎたためだ!
このため、シヴァ神は「三界の破壊者」とも呼ばれています。
なぜシヴァ神は崇拝されるのか?
シヴァ神がこれほどまでに崇拝されるのは、数々のパワーと能力を持っているからです。
シヴァ神は宇宙の創造者、維持者、破壊者であり、信者のどんな願いも叶えることができます。
また、最高神として宇宙を破壊し再創造する能力を持っており、それを何度か行っています。
世界の終わりにはシヴァ神は宇宙を破壊し再び創造する
と言われています。
言い換えるなら、「大掃除」と言えるでしょう。
ちなみに、シヴァ神の願いや欲望を叶える能力は第三の目からきています。
第三の目は以下のような能力があると言われています。
- 宇宙、過去、未来を見ることができる
- 信者が必要とするものは何でも与えることができる
踊りの王シヴァ神とは?
ナタラージャ(踊りの王)という形で表現されるシヴァ神も広く受け入れられています。
ナルタカ(踊り手)とニチャナルタ(永遠の踊り手)という別名もあります。
シヴァ神と踊り、シヴァ神と音楽とのつながりが顕著になるのはプラーナ文献の時代(4世紀から14世紀)です。
特徴的なナタラージャのポーズの他にもインド各地で様々な踊りの形があり、インドのタミル・ナードゥ州では特によく体系化されていると言われています。
ダンスの形で最も有名なものとして、以下が挙げられます。
- ターンダヴァ:シヴァ神が舞う
- ラースヤ:パールヴァティが舞う
世界の破壊が必要になった時にはターンダヴァとラースヤによって、世界の破壊が遂行されます。
ラースヤは女性的な踊りとしてターンダヴァと対を成します。
また、ターンダヴァとラースヤは世界の破壊と再生に結び付けて考えれています。
シンボルのリンガとは?
人の姿での表現のみならず、シヴァ神はリンガ(リンガム)という形に象徴化されます。
リンガの形は様々です。
一般的なものでは、ヨーニと呼ばれる注ぎ口が付いた円盤上のオブジェクトの真ん中から、円柱が垂直にそそり立つという形をしています。
このヨーニは女神シャクティを象徴化しています。
シヴァ神を祀る寺院であれば通常リンガは寺院内の聖所に置かれ、以下のもの等が捧げられます。
- 牛乳
- 花
- 花びら
- 果物
- 葉っぱ
- お米
シヴァ神の象徴として作られたもので現存する最も古いリンガは紀元前3世紀に作られたものです。
また、リンガはインド各地に散らばっていて64あるとされています。
リンガがあるシヴァ寺院をジョーティルリンガ(光のリンガの意)と呼びます。
そのうち12のジョーティルリンガが最も神聖とされマハ・ジョーティリンガ(偉大なるジョーティリンガ)と呼ばれています。
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