世界は混沌としていて、恐ろしい場所のように感じられるかもしれません。
人々は、日常生活のありふれた心配事よりも大きな何かを切望しています。
なぜここにいるのか、どこへ行くのか、そしてそれが何を意味するのか、といった大きな疑問に対する答えを求めるのです。
ゾロアスター教について噂を聞いたことがある人も、この古代の信仰について全く知らない人も、不思議に思っているかもしれませんね。
ゾロアスター教とは何なのか?
ゾロアスター教はどこから来たのか?
これらの疑問やその他の疑問は、ゾロアスター教に関するこの記事で解消されるでしょう。
ゾロアスター教とは?
ゾロアスター教は世界で最も古い宗教の一つです。
その名前は、この宗教の創始者とされるゾロアスターに由来しています。
ゾロアスター教はかつてペルシャの国教でした。
現在、世界中に約10万人のゾロアスター教徒がいると言われています。
ゾロアスター教の信者は、アフラ・マズダーという一人の神を信仰しています。
この名前は「賢い神」を意味し、
- アフラ:天空
- マズダー:光
を指す言葉であり、アフラ・マズダーは太陽神ともされています。
ゾロアスター教は多神教です。
善悪二元論を特徴としますが、善の勝利と優位が確定されています。
ゾロアスターの教えがどのようなものだったのか、聖典『アヴェスター』が極めて難解なことから、今日では正確には分かっていません。
ゾロアスター教の信仰
ゾロアスター教の中心的な信念は、2つの対立する力の間の戦いが存在することです。
1つは、至高神アフラ・マズダーを率いるスプンタ・マンユが代表するもの。
もう一つは、アンラ・マンユと呼ばれる悪霊に代表されるものです。
両者がお互いの存在に気付いた時、
- アフラ・マズダー:生命・真理
- アンラ・マンユ:死・虚偽
をそれぞれ選びました。
やはり、戦いは避けられないのか…
とアフラ・マズダーは悟り、戦いの場と世界を創造しました。
一方、アンラ・マンユは以下のような攻撃を加えました。
- 大地を砂漠にする
- 大海を塩水にする
- 植物を枯らす
- 人間や動物を殺す
- 火を汚す
しかし、アフラ・マズダーは不断の努力でアンラ・マンユのまき散らす衰亡・邪悪・汚染などの害悪を、善きものに変えていったのです。
ゾロアスター教の教義
ゾロアスター教で最重要の儀式とされるのが「感謝の儀式」です。
この儀式は、物質界・精神界に平和と秩序をもたらすと考えられています。
ゾロアスター教徒は、この儀式に参加することで生きていることの感謝の意を表し、儀式の中でも感謝の念を捧げるのです。
7歳から12歳ころまでにかけてゾロアスター教入信の儀式は行われます。
ゾロアスター教の礼拝は、「拝火神殿」と呼ばれる礼拝所で行われます。
神殿は信者以外は立入禁止で、信者は礼拝所に入る前、手・顔を清め、祈りの儀式を行います。
その後に履物を脱いで建物に入り聖火の前に進んで、その灰を自分の顔に塗って聖なる火に対して礼拝を捧げるのです。
ゾロアスター教の葬送は、今日では珍しい鳥葬・風葬です。
この葬送は、遺体を埋納せず野原などに放置し、風化ないし、鳥がついばむなど自然に任せるもので、そのための施設が設けられることもあります。
ゾロアスター教の聖典『アヴェスター』では、自分の親・子・兄弟姉妹と交わる最近親婚を最大の善徳と説きました。
ゾロアスター教の影響下にあった古代ペルシャでは、王族、僧侶、平民など階級の区別なく親子・兄弟姉妹間の近親婚が行われていました。
開祖ゾロアスターとは?
ゾロアスター教の開祖ゾロアスターやゾロアスター教の成立に関しては、不明な部分が少なくありません。
ゾロアスターの誕生地は諸説あり、活動時期には以下の説があります。
- 紀元前1,000年以前
- 紀元前1,000年から紀元前6世紀
彼は原イラン多神教を改革し、倫理的要素を加えた二元論・終末論を軸とする新宗教(原ゾロアスター教)を創設しました。
かつて神官一家に生まれたゾロアスターは20歳で放浪の旅に出ました。
彼は唯一神アフラ・マズダーの啓示を伝える使者を名乗り、
この世界は善悪二神の争いの場である
と人々に説いたのです。
ゾロアスター教発祥の地と信じられているアフガニスタン北部の古代バルフに、ゾロアスターが埋葬されたと伝えられています。
そして、この地はゾロアスター教徒から神聖視されてきました。
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