日本の新年はさまざまな伝統行事で祝われますが、その中でも重要なのが初詣です。
初詣は参拝者が新しい年の繁栄を祈り、願い事をするための時間なのです。
初詣の歴史と伝統、参拝の準備、そして当日の注意点をご紹介します!
初詣とは?
初詣・初詣で(はつもうで)とは、年が明けてから初めて神社や寺院などに参拝する行事です。
初詣では以下のようなことを行います。
- 一年の感謝を捧げる
- 新年の無事と平安を祈願
初参・初参り(はつまいり)とも言います。
初詣の起源
元々は「年籠り」(としこもり、としごもり)と言います。
家長が祈願のために大晦日の夜から元日の朝にかけて氏神神社に籠る習慣がありました。
やがて年籠りは、以下の2つに分かれました。
- 大晦日の夜:除夜詣
- 元日の朝:元日詣
元日詣が今の初詣の原形となっています。
初詣の歴史
1181年に源頼朝が鶴岡若宮に参詣したことが初詣が広まるきっかけと言われています。
江戸時代末期までの元日の社寺参拝としては、
- 氏神神社に参詣
- 居住地から見て恵方にあたる社寺に参詣(恵方詣り)
といったことが行われました。
元日の恵方詣りのほか、正月月末にかけて信仰対象の初縁日(えんにち)に参詣(さんけい)することも盛んでした。
「年籠り」形式を踏まず、単に社寺に「元日詣」を行うだけの初詣が習慣化したのはそれほど古い時代ではありません。
明治中期に鉄道会社が神社とキャンペーンをして、遠方の有名神社へ初詣する風習を作り出したとされています。
また、氏神や恵方とは関係なく、有名な社寺に参詣することが一般的になりました。
俳句で「初詣」が季語として、四季の事物や年中行事などをまとめた書物である『歳時記』に採用されたのは明治末期です。
実際に「初詣」を詠んだ俳句が登場するのは大正時代以降のようです。
初詣の風習
社寺へ参拝を行って、
- お守り
- 破魔矢(はまや)
- 風車
- 熊手(くまで)
などを社務所(しゃむしょ)で受けたりします。
そして、絵馬に願い事や目標を書いたりして、今年一年がよい年であるよう祈るのです。
昨年のお守りや破魔矢などは、このときに社寺に納めて焼いてもらいます。
また、神社によっては境内で甘酒や神酒(みき)などが振るまわれます。
初詣はいつ?
初詣には、定められた規定は特にありません。
年が明けてから初めて神社や寺院などに参拝する行事
このため年内ならいつ参拝に行っても、その参拝が年内最初の参拝であれば「初詣」となる場合もあります。
一般的には、正月三が日に参拝するのを初詣と言います。
また、回数に関する規定もありません。
多数の神社仏閣に参詣すれば色々なご利益がある
という説もあり、その場合神社仏閣を特に問いません。
初詣のルール
初詣の対象は神社・寺院のいずれでもかまわないとされています。
これは明治時代初期に神仏分離が行われる前は、
- 神道
- 大乗仏教
- 祖霊信仰
が一体化した神仏習合による信仰が一般化していたためです。
つまり、初詣に限らず社寺への参詣に神道・仏教の区別はあまり無いとされていたことの名残です。
ここからは細かい初詣のルールについて見て行きます。
お参りの作法:神社編
- 15度ほど腰を曲げ鳥居に軽く一礼
- 中央を避けてくぐる
- 手水所(ちょうずしょ)で左手、右手、口、柄杓(ひしゃく)の柄の順で心身を清める
- 拝殿へ向かう
- おさい銭を納める
- 鈴を鳴らした後、姿勢を正して腰を90度に曲げ二礼
- 手を合わせ、右手を少し手前に引いて二度拍手を打つ
- 手前に引いた右手を元に戻す
- 目を閉じてお参り
- 最後に深く一礼して終了
お参りの作法:寺院編
- 一礼して山門をくぐる
- 手水所で左手、右手、口、柄杓の柄の順で心身を清める
- ご本尊をまつる本堂前に香炉がある時は、線香などを供えてけがれや邪気を払う
- さい銭箱の前で一礼
- おさい銭を納める
- 鐘をつき静かに手を合わせてお祈り
- 最後に深く一礼して終了
本堂内で参拝する場合は、ご本尊の前で焼香(しょうこう)します。
そして、木魚が置いてあればたたきながらお経を唱えます。
おさい銭はいくら納める?
おさい銭は神様への感謝の気持ちを込めて、自分の無理のない範囲の額を納めます。
縁起の良い語呂合わせとして有名なおさい銭は以下となります。
- 5円:ご縁
- 10円(5円2枚):重ね重ねご縁
- 25円(5円5枚):二重のご縁
- 45円(5円9枚):終始ご縁
ちなみに、縁起を担ぎたい人には不向きなおさい銭もあります。
- 10円玉:遠縁
- 500円玉:これ以上硬貨(効果)がない
高額紙幣を使う場合は白い封筒に入れて、住所と名前を記入するのがマナーです。
願い事はひとつだけ?
初詣ではまず神様に1年間の報告やお礼をします。
その上で新たな願い事と祈りを捧げます。
願いの数や内容に制限はありません。
しかし、ご利益を授かるためにも的は絞ると良いでしょう。
祈願の時に名前と住所を伝えること、寄り道をせずまっすぐ家に帰る方が良いともされます。
参考:初詣、知っておきたい初詣の参拝方法
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