日本の門松は、日本の伝統的な正月飾りです。
松の枝と竹でできた飾りで、持ち主に幸運と長寿、繁栄をもたらすと信じられています。
門松の伝統は平安時代から日本にあったと言われ、行楽シーズンの重要な一部であり続けています。
そんな日本の伝統的な正月飾り「門松」について詳しくご紹介していきます!
門松とは?
門松(かどまつ)は、正月に日本の家の門前などに立てられる松や竹を用いた正月飾りです。
- 松飾り
- 飾り松
- 立て松
とも言い、新年の季語です。
木の先端に神が宿る
と古くは考えられていたことから、門松は年神を家に迎え入れるための依り代という意味合いがあります。
松は千歳を契り、竹は万歳を契る
と言われ松と竹で神の依代の永遠を願うのです。
年神はこの松門を目印に降臨してくると言われています。
門松の歴史
一説には唐代にあった正月に松の枝を門に飾る風習が平安時代に日本に伝わったと言われています。
中国では一般的に邪気払いの力があるとされる桃の木の人形や札を飾る風習が見られます。
日本に桃が伝来したとき既に日本では松を正月飾りにする風習が出来上がっていたため、桃が入り込む余地がなかったそうです。
平安時代の宮中では「小松引き」という行事が行われました。
これは、初子の日に外出して松の小木を引き抜くという貴族の遊びです。
持ち帰った「子の日の松」を長寿祈願のため愛好する習慣があり、門松はこれが変化したものと考えられています。
1100年頃には平安京(現在の京都市)で門松を飾る風習があったことが当時の和歌集から分かります。
14世紀中頃の『徒然草』にも、
大路のさま、松立てわたして、花やかにうしれげなるこそ、またあはれなれ
と記されています。
また、16世紀中頃の上杉本『洛中洛外図』にも門松が描かれています。
日中戦争が激化した1938年(昭和13年)末には、大阪府の一部の町会が門松廃止運動を行いました。
門松の起源
門松は中心の竹が目立ちますが、その本体は名前で解るとおり「松」です。
古くは松などの常緑樹(じょうりょくじゅ)を飾っていましたが、鎌倉時代以後、竹も一緒に飾るようになったのです。
竹の先端部の形状は、以下の2種類があります。
- 斜めに切った「そぎ」
- 真横に切った「寸胴(ずんどう)」
一説では、「そぎ」は徳川家康が始めたものだと言われています。
徳川家康が三方ヶ原の戦い(1572年12月)で武田信玄に敗れた直後、
松枯れて 竹類いなき 明日かな(松平氏の出自である徳川家康が滅び、武田氏が栄える)
という武田方から送られた句を、
まつかれで たけだくびなき あしたかな(松平氏は滅びず、武田の首級が落ちる)
と読み替えて、竹を斜めに切り落とした門松とともに送りつけたと伝承されています。
様々な門松
兵庫県西宮市の西宮神社では、えびす様に葉先があたらないよう、松を下向きに付け替えて「逆さ門松」にします。
また、地域の言い伝えにより松を使わない所もあります。
東京都府中市の大國魂神社では、「待つ」に通じることから、境内には松の木が1本もありません。
兵庫県神戸市の生田神社では、水害で倒れた松の木が社殿を壊したとの言い伝えがあり「杉盛(すぎも)り」を飾ります。
集合住宅の発達など社会環境の変化などから、本格的な門松が設置されることは少なくなりました。
しかし、一般家庭用に小さな寄せ植え風の門松などが年末に店頭に並ぶようになりました。
さらに省略版として、枝振りのいい若松に、赤白や金銀の水引を蝶結びにし、門柱などに付ける方法もあり、手軽なことから多く使われています。
- 生花店
- ホームセンター
- 造園業
- 工務店
などでは、門松を造り、設置・撤去まで一括で行なうサービスもあります。
また、毎年飾ることができる造花の門松(人工門松)もあります。
門松用紙
門松用紙とは、設置の簡素化目的で実際の門松の代用として玄関先に貼る用紙です。
門松を置くスペースが確保できない店舗や住居向けとなっています。
- 賀正
- 謹賀新年
- 迎春
と門松などの図柄にこのようなお祝いの言葉や新年のあいさつ文、年末年始の休業期間も書いていることも多いようです。
門松を紙媒体にしたことで、既存の門松の形式に捕らわれない以下のような自由な様式も見られます。
- 松竹梅の各単体のみの絵柄
- 鶴亀や干支など縁起が良い動物の絵柄
- 和紙を使用した見栄えのいい門松用紙
用紙の名称は「門松用紙」が多く用いられている他に、
- 年賀ポスター
- 紙門松
- 門松カード
という名称も見られます。
町内会や商店街単位で配布されている場所がありますが、
- 小売りで販売している業者
- 文具屋
- ホームセンター
などでも購入が可能です。
設置期間
門松の設置は12月13日以降にすべきとされていますが、
- 12月29日:「二重苦」あるいは9の末日という意味で「苦待つ(苦松)」
- 12月30日や12月31日:「一夜飾り」「一日飾り」といって神を疎かにする
といった意味合いから、それぞれの日付を避ける風習もあります。
門松がある期間のことを松の内と言います。
伝統的には元日から1月15日までを指します。
- 関西:15日のまま
- 関東:7日まで
と近年では地域によって日付が違ってきているようです。
松の内を1月7日までとする場合には、6日の夕方や翌7日に片づける場合が多いようです。
左義長が行われる地域は、左義長で門松を焼くので、それに合わせて片づけます。
左義長は1月15日の小正月が多いですが、地域や神社によって異なります。
そんな松の内と期間が同じである「小正月」について詳しく知りたい方は、
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参考:門松
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