古代エルサレムの悲嘆を綴った『哀歌』の書。
詩的な詩で書かれたこの力強い本は、破壊と喪失の後遺症と闘う人々の絶望に満ちた都市の姿を鮮明に描き出しています。
想像を絶する悲劇に直面しながらも、贖罪と希望を切望する人々の生の感情に触れ、心を揺さぶられることでしょう。
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哀歌とは?
『哀歌』は紀元前586年のエルサレム滅亡を悼む詩を集めたもので、ヘブライ語聖書の「五つのメギル」のひとつとされています。
伝統的には預言者エレミヤの作とされてきましたが、現代の研究では複数の匿名の詩人によって書かれたと考えられています。
メソポタミアの伝統的な「都市哀歌」をモチーフに、都市が神に見捨てられ、破壊され、やがて神が戻ってくることを表現しています。
その語調は圧倒的な苦しみと救済へのわずかな期待を反映した荒涼としたものです。
悲しくても、神様が話してくれなくても、それでも神様は公平で、時には親切でさえあることを著者は示しているのです。
哀歌の概要
哀歌の書は、前586年に起こったエルサレム滅亡を振り返る5つの詩からなります。
それぞれの詩はこの出来事に対して異なるアプローチをとっており、
章 | テーマ |
---|---|
第1章 | 悲しみに飲み込まれた荒れ果てたやもめ(配偶者を失って独身でいる者)を描く |
第2章 | その悲惨さを国民の罪と神の行為に結びつける |
第3章 | 神の民とより良い未来への希望を示す |
第4章 | 都市と神殿の荒廃を嘆きながらもそれを国民の罪のせいに |
第5章 | 国民の悔い改めと復興によりシオンの非難を取り除くための祈り |
『哀歌』は聖書の中の一冊で、神様がイスラエルの人々の罪に対してどのような罰を与えたかについて書かれています。
この本には、事態がいかに悪くなったか、人々が神に助けを求めたが、神が助けてくれるという保証はなかったという悲しい話や詩が書かれています。
しかし、神様の愛と慈しみは決して終わることがなく、毎日新しい希望を与えてくださるということも書かれています。
哀歌の構成
『哀歌』の作者は不明ですが、伝統的にはエレミヤとされてきました。
しかし、現代の学者たちは、彼が書いたのではないということで一致しています。
各章は別の詩人によって書かれ、後にこの本にまとめられたと思われています。
言語的には出エジプト記の時代と合致しています。
この書物はおそらく前586年から前6世紀末の間に編纂されたと思われますが、正確な編纂時期や場所は不明なままです。
この本が一人の著者によって書かれたのか、複数の著者によって書かれたのかについては、両方の可能性を主張する学者がいて意見が分かれています。
後世の解釈と影響
『哀歌』はユダヤ教徒やキリスト教徒が、重要な宗教的建造物の破壊を忘れないために、一年のうち特別な時期に読む本です。
ユダヤ教徒はティシュアー・ベ=アーブと呼ばれる日に読み、キリスト教徒は聖週間や聖金曜日に読みます。
教会によっては、特別な礼拝でこの本の一部を歌ったりもします。
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