えびす講は、日本の伝統的なお祭りです。
この祭りの起源は何世紀も前に遡り、商売繁盛の神である恵比寿(えびす)神を祝うものです。
祭りの期間中は、日本中から人々が集まり、この行事に関連した伝統的な儀式や習慣を目の当たりにすることができます。
また、この祭りには伝統的な歌や踊り、食べ物のシェアなどいくつかの習慣もあります。
そんなえびす講について分かりやすく解説し、有名なえびす講祭りをいくつかご紹介しております!
えびす講とは?
えびす講(こう)とは、おもに10月20日あるいは11月20日に催される祭礼または民間行事です。
地方や社寺によっては、旧暦の10月20日であったり、秋と春(1月20日)の2回開催したりします。
また、十日えびすとして1月10日や1月15日とその前後などに行うこともあります。
えびす祭やえべっさんとも言われます。
ちなみに、大鳥大社など日本各地の鷲神社で行われる酉の市は由来が異なり全く関係がありません。
えびす講で何する?
神無月(旧暦10月)に出雲に赴かない「留守神」とされたえびす神ないしかまど神を祀り、1年の無事を感謝し以下のことを祈願します。
- 五穀豊穣
- 大漁
- 商売繁盛
東日本では家庭内祭祀の意味合いが強くあります。
また、東日本では商業漁業の神としてのみならず、農業神として崇める傾向が西日本よりも顕著です。
えびす講に合わせて安売りバーゲンセールを行うこともあり、こういったイベントとしてえびす講を行う地域もあります。
えびす講の日には魚や根菜など青物が売られたり、たくさんの縁起物を飾った福笹(ふくささ)あるいは熊手(くまで)が販売されます。
この縁起物は神社から授与されるもので「吉兆」とも呼ばれます。
各地のえびす講
ここからは有名なえびす講についてご紹介していきます!
足利えびす講
栃木県足利市の西宮神社で行われます。
- 11月19日:宵祭(よいまつ)り
- 11月20日:本祭り
屋台で縁起物などが売られています。
歌舞である神楽が奉納(ほうのう)されます。
桐生ゑびす講
群馬県桐生市の桐生西宮神社で行われます。
- 11月19日:宵祭(よいまつ)り
- 11月20日:本祭り
縁起物が売られ、数百の屋台が境内に連なります。
神楽や太鼓が奉納されます。
からくり人形芝居なども催されます。
高崎えびす講市
群馬県高崎市で行われます。
高崎実業組合連合会が昭和金融恐慌以降の不況下で商業を活性化させようと、1929年に美保神社の分霊を高崎神社境内の大国神社に祀りました。
それとともに11月19・20日にえびす講市をおこなったのがきっかけ。
戦中は途絶えましたが戦後1947年から再開します。
現在は11月第3土・日に行われます。
- 富くじ
- えびす袋(福袋)
- 千社札めぐり(ウォークラリー)
などが催されます。
日本橋べったら市
東京都中央区日本橋本町にある
- 恵比寿を祀る寳田恵比寿神社
- その周辺の椙森神社一帯
で10月19・20日に行われます。
露店が数百軒並び、名物はべったら漬です。
恵比寿べったら市
東京都渋谷区恵比寿西にある恵比寿神社で10月19・20日に行われます。
露店が数百軒並び、名物はべったら漬です。
神社の設立や地名の経緯からいって、上記「日本橋べったら市」が戦後に山手の恵比寿に派生したものです。
甲府えびす講祭り
山梨県甲府市にて11月23日(勤労感謝の日)に行われます。
甲府商工会議所が不況下の1929年に始めました。
甲府市中心商店街や舞鶴城公園では屋台やフリーマーケットが並びます。
舞鶴城公園に恵比寿天の仮宮が建てられ、商売繁盛を祈願しての恵比寿天神輿が担がれます。
甲府囃子(ばやし)やパレードなども催され、福袋が売り出されます。
長野えびす講煙火大会
長野市の犀川河川敷で11月23日に行われる花火大会です。
1899年から始まり、11月の花火大会としては大規模です。
2017年には13,000発打ち上げられました。
11月18~20日には同市の西宮神社でえびす講祭(例大祭)が行われ、神楽の奉納や縁起物の販売があります。
胡子講
広島市中区の胡子神社で11月18~20日に行われます。
縁起物が売り出され、福引きも行われます。
また、同時期に周辺商店街ではセールも開催されます。
各地の十日えびす
ここからは有名な神社で行われる十日えびすをご紹介していきます!
西宮神社(西宮市)
鎌倉時代の1259年~1260年にはすでに十日えびす祭の潔斎(けっさい)として忌籠祭(いごもりさい)がこの西宮神社で行われていました。
- 潔斎:神事・仏事の前に、飲食その他の行為をつつしみ、水浴などして心身を清めること
- 忌籠祭:戸締まりし静寂を守り灯火も消し、籠もって夜明けを待つ神事
中世の西宮市中の家々でも、1月9日の夕方から忌籠祭が行われていました。
門松でえびす神が怪我をしないようにと、戦前まで「逆さ門松」の風習が残っていました。
現在では禁忌の明けた10日午前6時に正門が開けられ、最初の参拝を競って約200メートルの参道を競走する開門神事福男選びが行われます。
また、招福マグロを奉納するのが恒例となっています。
今宮戎神社(大阪市浪速区)
江戸中期頃から盛んになります。
拝殿で笹を授かり、縁起物である以下のものを付けます。
- 吉兆
- 御札
- 小宝
参拝者が小宝を自由に選び、福娘によって飾りつけられます。
京都ゑびす神社(京都市東山区)
元々は建仁寺が守護するための寺内神社でした。
神仏分離に際して、建仁寺寺侍が京都ゑびす神社を譲り受けます。
そして、寺侍が神社の長である宮司(ぐうじ)となった神社です。
十日えびすの縁起物である福笹の授受を初めて行った神社と言われています。
堀川戎神社(大阪市北区)
江戸中期頃より盛んになります。
- ミナミ:今宮戎神社
- キタ:堀川戎神社
が大阪の町の十日えびすを代表するようになります。
柳原蛭子神社(神戸市兵庫区)
昭和から始められます。
西宮神社などの十日えびすの盛り上がりを参考にして始めました。
大阪天満宮(大阪市北区)
十日えびすは戦後ずっと途絶えていました。
しかし、2006年に上方落語唯一の寄席(よせ)である天満天神繁昌亭が開席されたのをきっかけに、上方落語協会会長の桂三枝(現・六代桂文枝)の意向もあり再び復活しました。
智恩寺(京都府宮津市)
「文殊堂十日えびす」が行われます。
日本三文殊のひとつであり秘仏の「丹後の切戸文殊」が開帳され、
- 商売繁盛
- 学業成就
が祈願されます。
平塚三嶋神社(神奈川県平塚市)
神奈川県で唯一、「新春えびすまつり」を毎年1月第3日曜に行っています。
「新春えびすまつり」は以下のようなイベントが行われます。
- 福男福女の祈祷
- 笹の授与
- 運福まき神事(福娘による歌謡ショーののち福まき)
境内では名物えびす鍋(漁師鍋)やミニフリーマーケットが実施されます。
参考:えびす講
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