電話詐欺は、「特殊詐欺(とくしゅさぎ)」とも呼ばれ、被害者に直接会わずに、電話などの通信手段で被害者をだまし、信用を得た上で、指定した銀行口座に現金などを振り込ませる犯罪の一種だ。
「オレオレ詐欺」が最も有名だが、その他にも「預金詐欺」「キャッシュカード詐欺」「架空請求詐欺」「還付金詐欺」「サポート詐欺」など、さまざまな手口がある。
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振り込め詐欺の名称
「振り込め詐欺」という言葉は、2004年に警察庁によって作られた。
それ以前は「オレオレ詐欺」と呼ばれていた。
しかし、詐欺の手口が多様化するにつれ、その名称は犯罪の本質を正確に反映しなくなっていった。
警察庁は2004年12月、
- なりすまし詐欺
- 架空請求詐欺
- 融資保証金詐欺
- 還付金詐欺
の4つの詐欺の名称を「振り込め詐欺」に統一した。
これは、振り込め詐欺を煽るのではなく、詐欺のどの段階でも騙される可能性があることを注意喚起する、一貫性のある名称にすることを狙ったものだ。
2013年、振り込め詐欺の減少を受け、警視庁は振り込め詐欺の新しい名称を募集した。
最優秀作品は「母さん助けて詐欺」だった。
しかし、この名称は、父親が被害者になるケースもあり、被害者の実態を正確に反映していないと批判された。
その結果、「ニセ電話詐欺」や「親心利用詐欺」など、電話詐欺や親心利用を強調した名称が各都道府県警で使われるようになった。
ネーミングのバリエーションはあるものの、「特殊詐欺」(電話詐欺)という用語は、警察当局によって一般的に使用されている。
コトバンクのウェブサイトの「知恵蔵ミニ」によると、2014年に報告された電話詐欺の件数は13,392件だった。
電話詐欺の起源
「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」とも呼ばれる電話詐欺は、これらの言葉が登場する以前から存在していた。
早くも1999年には、電話や電報を使った詐欺事件が報告されている。
しかし、「オレオレ詐欺」という言葉が広まったのは2003年のことである。
2003年2月に犯人を逮捕した鳥取県警が、家族になりすまして電話をかけてきたという意味で使ったのが最初だった。
さらに、2003年2月中旬には、架空の銀行口座を使うという、より手の込んだ詐欺のバージョンが、東京を拠点とする闇金グループに出現した。
電話詐欺の進化
当初、電話詐欺は、息子や孫など、一人の人間を装った加害者個人による犯行が中心だった。
しかし、犯罪が進化するにつれて、複数の人間が共謀し、一人が「債務者」のふりをし、もう一人が「債権者」のふりをするようになった。
彼らは電話を使って被害者をだまし、脅し、厳しい結果を避けるためにはすぐに返済する必要があると主張した。
そのうちに、詐欺の対象は通勤・通学中の家族や親戚にまで広がり、交通事故、暴行、横領、財政難など、さまざまな場面で加害者や債務者として描かれるようになった。
場合によっては、詐欺師は被害者に考える時間を与えないような台本を作り、何度も電話をかけてプレッシャーをかけ続けた。
詐欺師は、被害者、その家族、駅員、警察官、弁護士などにさまざまな役柄を割り当て、複数の犯人やサイレンのような効果音まで登場する演劇的な演出をする。
このため、詐欺は「劇団型犯罪」と呼ばれるようになった。
最近では、「騙されたふり作戦」と呼ばれる手口も登場している。
この手口は従来の電話詐欺と同じで、最初の犯人は家族のふりをする。
しかし、その後、警察官を装った2人目の犯人が被害者に連絡し、何者かが詐欺を試みたと主張する。
そして、被害者は最初の犯人に現金を渡すよう指示され、犯人は2番目の犯人と協力して金を盗んで逃走する。
この手口は、被害者が法執行に協力していると思い込むことを利用し、より手の込んだ劇場型犯罪を引き起こす。
特殊詐欺の手口
日本における特殊詐欺には様々な手口があり、大きく10種類に分類することができる。
オレオレ詐欺
家族や上司、警察官、弁護士などになりすまして電話をかける手口。
被害者の家族が事故に巻き込まれた、犯罪を犯した、金銭的に困っているなどと言い、被害者を操り、すぐに現金を用意させたり、振り込ませたりする。
預貯金詐欺
警察官や銀行協会職員などになりすまし、銀行口座が犯罪に悪用されたことを告げる。
その後、被害者の資金を保護すると称して、現金の両替やキャッシュカードの提供を要求する。
架空請求詐欺
有料サービス業者、法務省、裁判所などの職員を装い、被害者が未払いの料金を支払っていると偽る。
Eメール、手紙、ハガキなどで通知を送り、被害者に架空の債務を清算するための支払いや振り込みを強要する。
融資保証金詐欺
政府職員や銀行職員になりすまし、融資や融資保証を約束して被害者をだます。
融資の前に「保証料」などの前払いを要求し、お金を受け取った後は姿をくらます。
還付金詐欺
役所や年金事務所の職員になりすまし、医療費、税金、保険料などの払い過ぎが還付の対象になると被害者に連絡する手口。
被害者をだましてATMを操作させ、詐欺師の口座に振り込ませる。
金融商品詐欺
非上場株式や有価証券など、存在しない、または価値のない金融商品に関する虚偽の情報を提供し、被害者に購入を促す。
ギャンブル詐欺
パチンコ、公営ギャンブル、宝くじなどで勝つための「確実な」攻略法を提供し、被害者にその情報を請求する。
デート商法
雑誌に広告を掲載したり、大量の電子メールを送信して、お見合いサービスを提供し、登録料や保証金を支払わせる。
その他の特殊詐欺
上記のカテゴリーに当てはまらない詐欺で、キャッシュカード詐欺などは他の詐欺とは別に扱われる。
キャッシュカード詐欺
警察官、銀行協会の担当者、大手デパート、家電量販店、大型スーパーマーケットの従業員などになりすました犯罪です。
キャッシュカードやクレジットカードが悪用されていると言って被害者をだます。
この策略を使い、詐欺師は被害者を騙してカードをすり替えさせ、窃盗と金銭的損失をもたらす。
この詐欺は窃盗に分類され、他の詐欺とは区別される。
このような様々な手口は時代とともに進化しており、詐欺師は被害者の信頼や知識の脆弱性を突くために絶えず手口を変化させている。
影響と対策
特殊詐欺は、被害者が金銭的な損失を被ったり、精神的な苦痛を受けたり、他人に対する信頼を失ったりするなど、社会に大きな影響を与えている。
日本の警察当局や金融機関は、この犯罪に対抗するため、さまざまな対策を実施している。
こうした対策には、市民への啓発キャンペーン、教育プログラム、監視の強化、詐欺電話を特定しブロックするための通信会社との協力などが含まれる。
詐欺師が使う手口が進化していることを認識し、警戒を怠らないことは、個人にとって極めて重要である。
特殊詐欺に対する最善の防御策は、迷惑電話だけを頼りに個人情報を開示したり、金融取引を行ったりしないことである。
特殊詐欺のターゲットにされた疑いがある場合は、直ちに最寄りの警察署に連絡し、関連情報を提供すること。
特殊詐欺は、日本における緊急の問題であり続けており、この欺瞞的な犯罪と闘うために、法執行機関、金融機関、そして一般市民が継続的に取り組む必要がある。
国民の意識を高め、啓発し、効果的な対策を講じることで、個人を特殊詐欺の被害から守り、より安全な社会を実現することができる。
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